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‡CRYSTAL‡
危険の多い、この場所で




「俺はいいけどね、オルガ討伐が仕事だからさ。
でもあんた達の身まで守るつもりは、ない」

「あー大丈夫大丈夫。
今回は俺も行くし、モーク達はここで待機な」

「は、はいっ」


内心、安堵感でいっぱいのモークだった。
だが笑顔でひらひらと手を振るロゼに、セーマは変わらず顔を引き攣らせる。



「俺の言いたい事、分かんない?」

「足手纏いが嫌なんだろ?だーいじょぶだって。
自分の身くらい守れるし、それにこっちには……」


言いかけた、瞬間。



――ばぁんっ!!


「心配しなくても私がいるから平気よっ!!」


話の途中で勢い良く談話室の扉が開かれた。

そこに現れたのは、可愛らしいフリルのついたエプロンを着け、フライ返しを手に持ったティナ。

その突然の登場に誰もが言葉を無くし、沈黙が流れた所でセーマは平然と口を開いた。


「…何してんの?」

「何って…貴方の分の朝食作ってたのよっ!
皆と同じ時間に起きないから!!」


不機嫌ながらもティナは坦々とテーブルに料理を並べていく。
そこでロゼはソファーから立ち上がった。


「んじゃ、セーマが朝メシ食ったら出発だ。
頼りにしてるぜ?狐さん」

のんびりとロゼが部屋を出て行った後、モークは後片付けを手伝うと言ってキッチンへ向かった。


「もう、早く寝ないから起きられなのよ」

「夜行性なんだから仕方ないでしょ。…それよりさ」


出された料理を口に運びながら、セーマはじろりとティナを見た。



「何で朝起こしてくれなかったの?」

「…ヒルダとカウルに頼んだんだけど」

「そのお陰でこんな痣になったんだけど」


そう言って指差したのは、自身の腫れた頬。


「次はまともな起こし方するように、あんたから言ってよ」

「貴方が早く起きれば済む話でしょ…」


溜息混じりに呆れ返るティナと、坦々と朝食を取るセーマ。
そんな時、台所からモークが声を上げた。


「なんなら俺が起こしましょうか?
甲板で朝の体操すると気持ちいいっすよー!!」

「……遠慮しとく」


結局、セーマをすんなりと起こす方法は見当もつかなかった。



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あきゅろす。
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