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‡CRYSTAL‡
ALIVE










 ――絶え間無く
 打ち寄せる波よ

 この切なさは
 何処から来るの?


 心の岸辺を
 濡らしてゆく

 眩しかった日々…




 ――緑が
 枯れていく様に

 未来が色褪せて
 見えても


 涙の数だけ
 きっといつか


 花は咲く日が来る…







ふと、歌はそこで中断されてしまった。

さらりと銀色の長い髪が風に靡く。



「盗み聞き、やめてくれないかしら?」

「なんでいつも冷たいの?…俺にだけ」


ティナは不機嫌そうに後ろを振り向く。

背後に聳える高台の上では、セーマが頬杖を付きながらこちらを見つめていた。

その言動に小さく溜息をつき、ティナはその場に座り込む。



「歌わないの?」

「ちょっと休憩…。
昼間散々歌ったから、喉痛いかも」

「そ、お大事に」


その言葉に、ティナは不機嫌そうに顔を歪ませた。

彼女の拗ねた様子に気付き、セーマは小さく笑う。



「怒んないでよ。お礼言おうと思ってるんだからさ」

「お礼…?」


セーマはようやく腰を上げ、小さく首を傾げたままのティナに歩み寄った。

近くで見る彼女の髪は、月光に照らされて更に輝いている。



「忘れ物取りにわざわざ付き合ってくれたじゃん。
どうも、ありがと」

「あ…どう致しまして」


ペコリと頭を下げるセーマにつられて、ティナも頭を下げる。

そして気まずそうな表情でセーマを見上げた。



「こっちこそ途中で足引っ張っちゃって…。
その、重かった…でしょ?」

「ん、とっても」





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