【AA】double ace
懐かしき、その姿は
――パァァァンッ!!!
ユーシィの言葉を合図に、白い光がステンドグラスに浮かび上がり、弾けた。
ユーシィはその眩しさに目を細めながら、光の先を見つめた。
光の中から二つの人影が浮かび上がる。
突然、絵画の中の朱い髪が目の前に現れた。
――ドサッ!!
その人影は、光と共にステンドグラスから舞い降り、祭壇の前に倒れ込む。
「…っ」
突然の事態に、ユーシィとディクセンは動揺を隠せなかった。
見違える筈がない
二人の姿が今、目の前に。
「いってぇ…!」
「よく言うな!お前さっき俺を押しただろ!?」
「はぁ?とんだ言い掛かりだぜ!!」
途端に喧嘩を始める朱毛。
ボロボロの服を身に纏った二人の姿は、どこか滑稽だった。
言い合いの最中だが、ディクセンは思わず口を挟む。
「お前ら…本当に、本物なのか?」
「「え?」」
その一言で、二人は一斉にこちらを向く。
自分を見つめる翡翠に、ユーシィは肩を震わせた。
心臓が、大きく高鳴る。
――間違いない。
彼は、ここにいる…――
「ケ、イ…」
「…ユーシィ、なのか?」
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