【AA】double ace 目が覚めたとき ―――――――――― どれだけの時間、泣いていたのだろうか。 気がつくと辺りは少し明るく、漆黒の空は段々と色付き始めていた。 クレミアの長い夜が明けた。 教会の祭壇の前で、ユーシィは一人死んだ様に眠っていた。 安らかに眠る彼女の頬には、沢山の涙の痕。 ――バンッ!! するとそこに、ユーシィを探してやってきたディクセンが、勢いよく教会の扉を開いた。 「ユーシィ様っ!!!」 探し人の姿を見付けるなり、急いで駆け寄り彼女の体を抱き起こす。 「ユーシィ様!しっかりして下さいっ!!」 呼び覚まされたユーシィはうっすらと目を開ける。 するとそこには、ぼやけたフィロワの顔があった。 「…ディ、クセ…ン?」 「良かった…。孤児院の先生から貴女の姿がないと連絡を受けて、必死に探したんですよ」 ディクセンは眉を潜めてユーシィに言った。 だが彼女は虚ろな瞳で天井を見上げている。 「ユーシィ様…?」 「…私は、これからどうしたらいいの…?」 再び涙が頬を伝う。 あれほど泣いたのにまだ涙が出るのか、とユーシィは自嘲気味に笑った。 「本当は頭のどこかで分かっていたの。 でも、認めたくなかった…」 ――私はこれから、生きていけるのかな? あの人のいない世界で、笑えるのかな? [前へ][次へ] [戻る] |