【AA】double ace 約束が果たされる時 『やめろおぉぉぉっ!!!!!』 創造主が泣き叫ぶ、目の前で、 ケイは生命の光を砕いた。 歴代の[夢神子]の生命を集めたもの。 ゼフォムを蘇えらせる為の、光を――… 『あぁ…ぁぁ…っ』 光は細かな結晶となって空に舞い、消えてゆく。 『消えないでくれ…。この光がなければ…私は約束を果たせない…っ!!会わせてくれ!! ゼフォムに…もう一度だけ…っ』 涙を流しながら、必死に光を求めて天を仰ぐ。 天に伸ばしかけたその腕を、ケイは咄嗟に強く掴んだ。 涙で濡れた顔を、こちらに向かせる。 「ネイフェリア…あんた、何も分かってないのか? 何も聞こえないのか?」 『な、にを…っ』 「分からないのか!?今も昔もゼフォムはずっと、あんたに語り掛け続けていたんだよ!!」 辺りが、静まり返る。 ――パァァ… すると、腐敗した地面から白く細かな光が空へと舞い上がっていった。 温かくて懐かしい光。 幻想的な光景の中、 創造主の耳に、懐かしい声が響いた。 『――…ネ…フェリ………ネイフェリア…』 『ゼ…フォム…か?』 ――忘れもしない優しい音色。 遥か遠い昔、この世界中でこの声を聞けるのは、この世界で私だけだった。 「1000年間…あんたは気付かなかった。 自分の目先の欲望にばかり耳を傾けて、大切な真実を見ようとしていなかったんだ。 ゼフォムはずっと…あんたを呼んでいたのに」 ゆっくりと創造主は立ち上がり、地面から吹き出る光の粒を見た。 その細かな光が段々と集結し、人の形を成す。 『やっと…届いた。やっと会えた…』 創造主は涙を流しながら、その光に手を伸ばした。 白い光も創造主に応える様に、輝きを増す。 暖かな光に包まれた創造主の耳に、懐かしい声が響いた。 『――私は、約束という言葉で君を縛りつけ、挙句こんな行動を起こさせてしまった…。 本当に、すまないと思っている』 それはきっと、間違った愛の形なのかもしれない。 けれど、その気持ちに嘘偽りなどなかった。 『…会える日を、待ち望んでいた。1000年かけて、やっと…貴方に――』 創造主の体がゼフォムと同じ光に染まる。 “ゼフォム”と“ネイフェリア”。 二つの光が大きく温かい光の結晶となって、空へと舞い上がった。 そして。 ――パァァァンッ!!!! その輝きは再び細かく砕け散り、世界中に散った。 光の軌跡をケイが見上げていると、頭の中に声が響いてくる。 それは、空へ散ったゼフォムとネイフェリアのもの。 『これは私達の犯した罪…。この浄化の光で、腐敗した大地を必ず修復させる』 『後は任せた…――ケイ』 「…ああ、ゆっくり眠ってくれ」 空にはまだ暗雲が立ち込めている。 腐敗した大地が治っても、霧の発信源であるこの『聖域』は未だ健在だ。 手遅れになる、その前に…。 [前へ][次へ] [戻る] |