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【AA】double ace
世界を繋ぐ扉
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 教会を後にした二人は、城への帰り道を歩く。

 辺りは既に日が傾き、暗くなっていた。

 そんな中、ふとユーシィはケイに質問する。



「そういえば、ケイはいつ出発するつもり?」

「あ…その事なんだけどさ」



 ケイにはまだ一つ、肝心な疑問が残っていた。



「このゼフォムは四つの都市に分けられていて、それぞれの都市は結界で覆われているんだろ?」



 うん、と頷くユーシィ。



「1000年間ずっと交流が無かったのに、俺はどうやって他の都市へ行ったらいいんだ?」



 争いが起きた為に切り離された世界。

 互いの干渉を防ぐ結界をどう越えたらいいのか、ケイには分からなかった。


 だがその最大の疑問に、ユーシィは意外にもすんなりと答える。




「ゲートを通るのよ」

「“ゲート”…?」

「ほら、あれと……あれよ」



 ユーシィが指で示した二つの方向を見ると、それぞれ遠くからでもよく見える程の大きな建物があった。

 それはちょうど、クレミアを挟んだ南と北に位置している。



「あの建物がゲートよ。
ゲート内にある大きな扉だけが、唯一世界を繋ぐと言われているわ」

「へぇ…」



 1000年前の戦争時代に、創造主によって造られたゲート。

 扉は常に固く閉ざされているが、【カイザー】のみが開ける事ができる、と言い伝えられている。



「ゲートは隣接してる都市と繋がっているのよ。
だから南のゲートなら南聖都ガノッサ、北のゲートなら北聖都インステラに行ける筈よ」

「…ここからじゃ西聖都には行けないのか?」

「クレミアには西聖都マラゲーニャへのゲートは存在しないの。
だから北か南、どちらかを越えなきゃいけないわね」

「つまり…世界をぐるっと一周しろって事か」



 途方もない話だな、とケイは溜息をつく。

 するとユーシィは小さく呟いた。







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あきゅろす。
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