【AA】double ace
確かな存在
涙を拭う事なく、ユーシィは真っ直ぐにケイを見つめる。
彼女の視線は、この上なく寂しそうで。
苦しそうだった。
「――…っ」
――気がつけば、
体が勝手に動いて
綺麗な涙を流す君を
この手で強く
抱きしめていた。
その途端、花びらが風に舞い二人を包む。
「っ…ずっと、会いたかったんだよ…」
「うん、ごめん…」
涙で服が濡れるのも
気にせずに
「もう、目を覚まさないかと思った…」
「…ごめんな」
強く強く強く
確かな存在をこの腕に
「苦しいよ…ケイ」
「…ごめん…っ」
ごめん
絶対、放せない
手放すもんか
せめて、君が
泣き止むまでは――…
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