【AA】double ace 戯れる[夢神子] ――――――――― 「なんだよ〜兄ちゃん!木登りも出来ないの?」 「はは…。僕、小さい頃から外で遊んだりしなかったからさ」 教会の庭では、草むらの上に腰を下ろすヤンノを数人の子供達が囲んでいた。 不満げに頬を膨らます子供達に、ヤンノは苦笑いを浮かべて宥める。 すると、一人の小さな女の子がヤンノの手を掴んで、立ち上がらせた。 「じゃー、かくれんぼしよ?」 「えーっ!?つまんねーよ!! どーせなら戦いごっことかしよーぜっ!!」 「お人形あそびはー?」 次々と子供達がヤンノに群がる。 その可愛らしい笑顔につられて、ヤンノも自然と笑みを浮かべた。 ――その時。 『ヤンノーーーーーッ!!!!』 遠くから自分を呼ぶ声に反応し、ヤンノは振り向く。 するとそこには、怒りの表情を浮かべたセリルが立っていた。 「あれ…おかえり、セリル!」 「ただいま……って違う!ちょっと来てっ!!」 あまりにもほんわかとした笑顔を浮かべるヤンノに苛立ったセリルは、彼の腕を引き教会へと戻る。 覚束ない足取りながも、ヤンノはそれに必死で付いて行った。 そして引きずられながらも子供達に振り向き、笑顔を向ける。 「ご、ごめん皆っ!また遊ぼうねっ!!」 「えー帰っちゃうの?」 「ばいばーい!ヤンノ兄ちゃんっ」 子供達に笑顔で手を振られながら、二人は教会の中へと消えて行った。 [前へ][次へ] [戻る] |