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【AA】double ace
ドア越しの声





―――――――――




インステラの宿では、不穏な空気が漂っていた。

ドアノブに触れようとしたユーシィは、異様な予感を察知し、出し掛けた手を急いで引っ込める。




「ユーシィどうしたんだ!?早くドアを開けてくれ!」


「嫌よ…」



外から聞こえるのは、確かにケイの声。

だけど……――




「ディクセンは、どこにいるの!?」


「だから外にいるって…」


「嘘よ!ディクセンが私に外に出るなって言ったのよ…。
その彼が私を向かえに来ない筈がないじゃない!!」




ユーシィは段々と後退する。

確信したのだ。

先程から募っていた嫌な予感が、ドア越しに伝わってくるのだから。






「貴方…本当に、ケイ…?」


「俺だよ、ユーシィ……信じてくれ!!」


「でも…」





ドア越しの嫌な予感が頭によぎる。

だが…。





「頼むよ…ユーシィ…」




縋る様に、哀しそうに

ユーシィを呼び掛けるケイの声。





「ディクセンは別の場所にいるから…。それより本当に危険なんだ!早く出てきてくれっ!!」


「ケイ…」



切羽詰まった声で、ケイはユーシィを急かす。

ユーシィは恐る恐るドアに近付いた。

そして。








――ガチャ…










ゆっくりと、ドアノブを回した。






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