【AA】double ace 階段の果てに ―――――――― 「だあああぁぁっ!!!! 何だよこのクソ長い階段は!?!?」 「あと少しですから頑張って下さい、ケイ!」 はユーシィとディクセンを宿に残し、ケイはセリルと共に<礎の塔>へと侵入した。 だが追放されたセリルを伴い、あまつさえ【カイザー】の偽者だと判断されたケイは、門前祓いをされてしまった。 そこはもちろん、強行突破したのだが。 ケイは今、塔の最上階へと続く、長い長い階段に悪戦苦闘していた。 「ケイ!ペースが落ちていますよ!!」 既に疲労の色を見せているケイとは逆に、セリルは意気揚々と先へ進む。 「っていうか…なんでお前はそんなに元気なんだ?」 「そりゃ、毎日上ってましたから」 「あ、そ…」 セリルがケロっと言ってのけると、ケイは少し脱力した。 だがそんな暇はない。 ケイには、どうしてもこの塔を上らなければならない理由がある。 「くそっ!なんで俺が偽者扱いされなきゃならないんだよっ!! どこのどいつが偽者だか知らねぇが、ぜってぇー許さねぇ!!!!」 「その意気ですっ!!」 もはやケイを駆り立てるものは【偽者】への怒りのみだった。 そうして階段を昇っている途中、ケイが突然何かを思い出したように口を開く。 「そういえば、セリル」 「はい?」 「初めて会った時に歌ってた、あの歌って…」 初めて聴いた時、胸の奥から何かが込み上がってきた。 不思議と、懐かしい気持ちになった。 あの歌…―― 「『創零神話』のことですか?」 「そうれい…神話?」 「創零神話は古くからゼフォムに伝わる詩で、礎の創造主が謡った神話を元に作られたものなんです」 「神話か……どんな話なんだ?」 セリルは息一つ乱さずに階段を昇りながら、栄光の神話を語り始めた。 [前へ][次へ] [戻る] |