【AA】double ace 逃げ出したフィロワ 【ケイを信じている】 ユーシィは自信たっぷりにそう言うが、ケイ自身はまだ思い悩んでいた。 彼女の期待に応えられる確証はない。 だが、ユーシィの願いはディクセンを取り戻す事。 彼女のがそれを望むなら…――― 「…分かったよ」 ケイが意を決して了承すると、アレイは椅子から立ち上がった。 「明日の夜、カジノの開店と共にファーヌの元へ行って交渉をする。 …それまでは俺と特訓をしろ」 「特訓って…なんの?」 「この勝負の場合、必要なのは“力”ではなく“運”だ…。 “運”を自ら引き込む力…それを身につける必要がある」 その時、ふとユーシィはアレイに疑問を持った。 「アレイは…どうして私達に協力してくれるの?」 アレイはファーヌのフィロワ。 言わばファーヌの味方をすべき立場であるのに、何故…――― 「俺は…逃げ出したフィロワだから」 アレイは小さく呟いた。 仮面の奥の瞳が哀しげに輝く。 窓の外では、<ジャッジメント>のネオンが赤々と都市を照らしている。 「以前のファーヌは人のものを無理に奪うなどということはしなかった。 彼女が変わったのは恐らく…俺の責任だ」 「どういう事だ…?」 アレイは顔の仮面に手を触れる。 そして過去を思い返すように目を閉じて、ゆっくりと話し出した……――― [前へ][次へ] [戻る] |