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【AA】double ace
“代価”





「――何を賭ければいい」



沈黙が続く中、ケイは真剣な顔で声を上げた。
ユーシィは顔を上げ、ケイを見た。


「ケイ…やってくれるの?」

「まぁ…やれるだけの事はするさ」


『ユーシィに賭博なんかさせられるか!!』というのが、本音の所。

アレイは口元にフッと微笑を浮かべると、おもむろにユーシィを指差した。
突然の行動に、ユーシィは、首を傾げるしかない。

アレイは静かに口を開いた。





「ならば“代価”はお前だな」

「え…?」


一瞬、ケイは頭が真っ白になった。


「ユーシィを“代価”に!?
そんな危険な事できるわけ…」

「人間が欲しければ人間を賭けろ。
…そうでなくては、恐らくファーヌは勝負を引き受けない」






――つまりは、こういう事。

ファーヌに勝負を挑む際に、ファーヌはディクセンを、ケイはユーシィをそれぞれ賭ける。

ケイが勝てば、景品としてディクセンを取り返せる。

だが、ケイが負ければユーシィは…――




ケイは俯いて、考え込んだ。
簡単に承諾できる話じゃない。
何よりリスクが多すぎる。
ケイは賭博など、したことがないのだ。

三人の間に、長い沈黙が流れた。

――その時。




「私は…構わないわ」

「ユーシィ!?」


沈黙を破ったユーシィの言葉に、ケイは動揺した。
ユーシィは、いつもの優しい笑みをケイに向ける。



「言ったでしょ?私はケイを信じてるから」




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あきゅろす。
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