【AA】double ace 彼は私の… もう夜も遅く、あまり時間はない。 二人は早速、会議を始めた。 「問題は、どうやって<ジャッジメント>に入り込むかだな」 「寝殿の周囲にはきっと警備が付いてるわ。 やっぱり…侵入するのは難しいのかしら」 生憎、ケイはユーシィに『無闇に力は使わない』と誓ってしまった。 強行突破は分が悪い為、戦闘は極力避けたい。 「あーーくそっ!なんで俺がディクセンなんかの為に…」 策は行き詰まり、ケイは遂に考えを投げ出した。 備え付けのベッドに転がり、頭を抱える。 「そんな事言わないで!ディクセンだって私達が助けに来るのを待ってるわ!」 ディクセンを庇うユーシィを、ケイは面白くなさそうにジッと見つめた。 神秘的な翡翠を放つ双眸に捕われ、ユーシィは戸惑う。 「な、何?」 「やけにあいつの肩を持つんだな…」 「当たり前よ、ディクセンは大事なフィロワだもの」 ふ〜ん、と素っ気無く返事をし、ふてくされた表情でケイはそっぽを向いた。 ケイのそんな様子に、ユーシィは首を傾げる。 「ケイ…何怒ってるの?」 「ユーシィがこんなに必死になるの、珍しいから。 …惚れてんのかよ?」 「ば、馬鹿なこと言わないでよ!」 ユーシィは思い切り否定し、首を激しく横に振る。 それでもまだ、ケイは疑いの眼差しをユーシィに向けていた。 ケイは、初めて会った時からディクセンのことが気に入らなかった。 ユーシィに近付く度に邪魔をして。 四六時中、当たり前のように彼女の傍にいる。 胸がざわつく。 この感情の名前が“嫉妬”だということを、ケイは知らなかった。 [前へ][次へ] [戻る] |