[携帯モード] [URL送信]
12





「まさかとは思ってたけど、本当に女の子だったんだね。」

『え…、気付いてたんですか?』

「当たり前だよ。だって君さっき、自分から“女です”って言ってるような会話してたしね。近藤さんと。」

『……?』




局長と?

私は沖田組長気付かれるような話を無意識のうちにしていたのだろうか。先ほどの局長との会話を一つ一つ辿っていく。少しの間、沈黙が廊下を支配する。

…いくら考えても、やっぱり分からない。私が首を傾げると、沖田組長は口を開いた。




「分からない?そうだなぁ…。君が近藤さんに飛ばされて、土方さんにぶつかった直後の会話かな。」

『直後…』

「君、自分で「男ですから大丈夫です」って言ったでしょ。普通、あの場には男しかいないんだからあんな言葉は言わないよね。男ならさ。」

『………あ』


もう本当に大丈夫ですから、気にしないでください!それに、頭を打ったって、必ずしも気絶する、という訳でもありませんし…。男ですから、それくらい平気です!




た…確かにそうだ…!

そんな事気にもしなかった。というか、こんなに早く気付かれてしまうなんて…私、どうなるんだろう。女だという事が隊内に広まったら追い出されるだろうか。だってほら、昔から女は戦場にいるべきではないと言われてきたでしょう?どんなに力のある戦士でも、女じゃ駄目なのだ。ただ、性別が違うというだけなのに、戦場では煙たがれる存在。その定義を私は覆したくて仕方がない。

知らぬ間に眉間に皺が寄っていたようで、沖田組長に「そんな怖い顔しないでよ。取って食うつもりは無いんだから」と言われた。ニヤリと微笑んでいる沖田組長…何を考えているんだろうか。

私が口を開こうとした、その時。




「あ、こんな所にいたのかよ!総司、メシ出来てんだけどー?」




20100527

[←*][#→]

あきゅろす。
無料HPエムペ!