『No pain,no gain』
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『もう、コナン君ったら優しいんだから!
…でもいいわ、お父さんだってやる時はやるって信じたいし』
信じすぎんのもどうかと思うぞ、と思いながら、
蘭が話す次の言葉を待つ。
『最近はお父さん、私の言うこと聞いてくれてて、
机の上の灰皿の吸い殻、ちゃんと片付けてくれてるみたいだし』
蘭の言葉に、コナンはギクリと体を強張らせる。
コナンの目の前にある灰皿には…
山盛りになった、タバコの吸い殻がある。
(そういや、この量の吸い殻…今朝からのものにしちゃ、量がありすぎねーか…?)
雀荘にいて麻雀に興じている時の量とは、比べ物にはならないとはいえ、
小五郎は結構なヘビースモーカーだ。
現在、昼の12時過ぎ。
いつから事務所を明けていたかは知らないが、
この灰皿に残る量からすると――…
『コナン君…』
腹の底から、唸るような声。
「蘭、ねぇ…ちゃん…?」
『悪いんだけど、お父さんのこと…くれぐれもよろしくね?』
怒りを押し殺した声でそう告げられて、
コナンは青冷めた顔をして「う、うん」とだけ答えた。
『ホントにもう、これだから…
お父さんって一人にすると、何にもやらないから心配なのよ!』
さっさとお母さんと仲直りしてくれれば、こんな心配しないんだけど、と、
怒り心頭な蘭の声を聞いて、コナンは思わず笑顔になる。
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