『No pain,no gain』
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講釈師、見てきたように物を言う、とは、正しくこのことではないだろうか。
時々小五郎と蘭の血の繋がりを疑えど、
先を見越したようなこの蘭の言葉を聞くだけでも、
疑いようもないのは紛(まが)うことない事実だ。
ぼんやりそんなことを考えていると、
『それに!』と意気込む蘭の声がして、
一気に現実に引き戻される。
『わたしがいないと面倒がって男の人からかかってきた依頼の電話は切っちゃうし、
使ったものは使ったまんましまわない、ご飯だって梓さんの所に行ってくれたらちゃんと体にいいもの作ってくれるようにお願いしてあるのに、
店屋物ばっかりとって朝から晩までビールビールビール!!』
一息で言いたいことを一気に口にする蘭の声を聞きながら
チラリ、と視線をくれると、ディスクの足元にあるゴミ箱に、溢れんばかりのビールの空き缶が入っているのが、
コナンの目に飛び込んできた。
(おっちゃん、このまんまだったら蘭に確実に殺されるな)
蘭の剣幕にそんなことを思いながら、
「きっと大丈夫だと思うよ」と、思いっきり棒読みで蘭の話に口をはさんだ。
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