『No pain,no gain』 ページ:5 自分の想いに深く沈みかけた、その時。 ジリリリリリ! 「!」 事務所の電話が突如けたたましく鳴り出し、 我に返る。 コナンは瞬時に自我を取り戻し、 背伸びをしながら受話器に手を伸ばした。 「はい、 毛利探偵事務所です」 『…コナン君?』 (――…蘭) 声のトーンに、 暗を含まない やわらかな声。 意識のないまま、 強張るように力が入っていたコナンの肩から力が抜け、 安堵の息が漏れる。 「蘭ねえちゃん。 どうしたの?」 『え? うん、ちょっとお父さんに言わなくちゃならないことを思い出して… って言うより、コナン君?』 「なに?」 『なに、じゃないわよ〜! そっちに着いたなら、どうしてもっと早く連絡してくれないのよ! 心配するじゃない!』 「ご、ごめんなさい」 受話器から漏れるほどの大声に思わず顔をしかめたコナンは、 反射的に謝る。 『…まぁいいわ。 ところでコナン君、お父さんは?』 「ぼくもどこに行ったか、探してて… やっぱり蘭ねえちゃんも知らないの?」 『うん。…でもそうか、お父さんいないのね。 だったらコナン君』 「へ?」 『お父さんが帰って来たら伝えてくれる? わたしがいないからって、顔も洗わず外に出たりしないでって! ほっとくとお父さん、歯も磨かないで麻雀しに出かけちゃうんだから!』 (…は、ははははは) . [*前へ][次へ#] |