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狼少年とうさぎ
人気者と昼下がりの遭遇


獄寺君と友達になった。


お昼を一緒に食べる相手が出来て、好きなものの話をする相手が出来た。


クラブで、リボーン以外に会話する相手が出来た。


そして、人気者の友達が2人になった。





[人気者と昼下がりの遭遇]





「十代目ー!」


獄寺君の声が教室に響く。

つい最近まで殆ど見る機会の無かった彼の笑みに、最初の頃は何事かと逐一振り向いていたクラスメートも、近頃は慣れたものだ。

獄寺君の笑顔を見てキャーキャーと。小さく喜ぶ程度だ。



「獄寺君…お昼買って来た??」


「はい!!屋上行きましょう!!」



何だか光速で振られる尻尾が見える気がする。





屋上でお昼を食べながら、二人で他愛もない話をしていた。


何だか校舎が騒がしかったが、放送も入らないのだから特に気にする必要は無いかと思っていた。





バタバタバタバタ



―――バンッ!!



「ふわっ!?」


「あぁっ!?何しに来やがったテメェ!!!」



背後で上がった音に俺は情けない声を上げ、フェンスに背を預けていた獄寺君は屋上の扉を開けた人物に低い声で怒鳴り、睨みつける。

一体誰が来たのかと顔を向ければ…



「―ぁ…人、居たのか…??」



黒い、すっきりとした短髪。同じ色の人懐っこい目。
長身に、無駄のない筋肉質な体。



「山本…??」


「よぉツナ」



野球部のエースは、獄寺君と同じくらい…いや、親しみ易い人柄もあって、獄寺君よりも、学校中で人気者だ。



実は俺と山本は幼稚園から同じだったりする。


だけど友達ではない。


俺は元々皆の輪に入れてもらえないダメっ子だったし、山本はその輪のど真ん中が定位置の人気者だった。


たまに山本の方から挨拶程度に声を掛けてくれることはあっても、特に話す機会も無く、山本はすぐに輪の中に引き戻される。



そんな感じで今までずっと同じクラスだったにも関わらず、俺と山本の関係は本当に浅い。





「で?何しに来たっつってんだよ」


獄寺君が苛立たしげに山本に問う。


そう言えば山本がこの時間に屋上に来るのは珍しい。いつも教室で皆と食べているのに。





「あー…何て言うか…俺こないだの大会でMVPとったんだけどさー…」


お祝いのプレゼント持った女子が追っ掛けて来てさ…と溜息混じりに山本は笑った。
あまりの人数と高価過ぎて受け取り難い贈り物に、いくら彼でも逃げたくなったらしい。


そう言えば4時間目は全校集会で表彰式だったと思い出す。
さっきから校内が騒がしかったのはそのせいだったらしい。



「そっか…あっ、おめでとう山本!!!」

思い返せば、相も変わらず輪の中心の彼に、自分も祝辞を述べてはいなかった。


「やっぱ山本は凄いな!俺なんか特技も無いし、ホント尊敬するよ!!」



本当に彼は凄いと思う。
才能が有る。その上で努力もする。才能に甘えないし無駄にしないところは、同い年だけど本当に尊敬してる。



「な、何言っているんですか十代目!!十代目だってすげぇ特技があるじゃないですか!!」


「え??いやいや、俺には無いよそんなの」


「いいえ有りますよ!!十代目は…




「ツナはめちゃくちゃ歌上手いじゃん」





「…ぇ??」


「何…だと??」





いつの間にか俺の隣に腰を下ろしていた山本がにっこりと俺に笑いかけていた。









Encounter at midafternoon with popular person.
He is an utter stranger. However, it is a person who is for a long time together.



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あきゅろす。
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