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狼少年とうさぎ
犬は羊に憧れて、



「っご…っ!!」


獄寺隼人!!!!!


「テメェ…」

「っひ!?」


給水塔登りきった獄寺が、後ずさった綱吉に詰め寄る。

見上げる綱吉を、帰国子女の緑色の目が睨み下ろした。





[犬は羊に憧れて、]



「おい…」


「っはぁ、ぇえぃあ!!?」



痛。舌噛んだ。


ってーか、何で獄寺隼人がここに??
不良だけど頭の良い彼は、授業は全部出るけど放課後になるとすぐに姿を消す。

それが何故、放課後もとうに過ぎた今、この場所に居るのか。



「…今、歌ってたのはお前か…」


「……は…はぁ…」


怯えながらも答えるツナに、獄寺は眉間の皺を深める。


「っ………マジで…か??」


搾り出す声は何処か先程までと違う。…心持ち弱々しくなった気がする。


「ま…マジです…。だいたい此処には俺と君以外居ないはず…でしょ?」


そう言うと獄寺君は俯いてしまい、何だか細かく震えている。

…大丈夫かな?


「えーっとあの、獄寺、君…??」


ガバッ!!

「っ!!ッ失礼しました十代目ぇぇぇぇぇえっ!!!」

「ぇえぇぇぇぇぇぇえ!!?」


何だこの人!!

いきなり土下座しだした!!!
下コンクリートだから痛いだろうに!!

アレか!
帰国子女だから変な日本文化として土下座覚えてんの!!?


って言うか十代目って何ーーー!!?



土下座したままゴンゴンとコンクリートに額を打ち付ける獄寺君を何とか諌め、急に変わった態度と、どうにも聞き逃せない最後の単語について尋ねると、何だかもう物凄く素直に答えてくれた。


どうやら獄寺君は、俺が二週間前知り合いが経営するクラブで歌ったのを偶然聴いたらしい。

そして、


「………別にお世辞とかいらないよ??ホント趣味の延長でしか無いし…」


「いいえ!!!アレは趣味の延長だなんてレベルじゃありません!!!十代目の歌声は素晴らしいです!!」


「ぅ゛う゛…///は、恥ずかしい…」


彼はツナのファンだった。





The dog yearned to the sheep. And, the dog fell in love with the rabbit.


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あきゅろす。
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