空想室 浴槽 溜め息から始まる 温めのお湯に入浴剤 乳白色と湯気とが 頭と身体を溶かしていく 防水の時計が指し示すのは もうあなたが寝ている時間 今夜はゆっくり浸かろうか 時間を気にする必要は無くなった 今夜はゆっくり溶けようか 肌を滑る水の音は歌のよう どうしようもないくらい あなたの温度が恋しくて どうしようもないくらい あなたの声が愛しくて 何度も時間を確認しても ゆっくりとしか進んでなくて どうしようもないけれど 無性にあなたに触れたくなった 乳白色が包んでいく 宙に浮かんだ溜め息や戯言や この浴槽から出たら あなたの隣で眠りに堕ちたい 前次 |