BLEACH(京楽×浮竹、海燕×浮竹、白哉×浮竹)
謝罪(原作沿い ルキア奪還後)


「白哉、怪我の具合はどうだ?」

浮竹がそう言いながら白哉のいる病室に入ってきた

「浮竹」

ルキアを助けるときに負った怪我の為、四番隊の救護詰所で入院している白哉を浮竹が見舞ったのは事件の明くる日だった

「兄こそ、身体は良いのか」

一昨日苦しそうに咳き込んでいた姿を思い出す

確か双極を破壊した後、元柳斎とも戦っていたはずだ

「ああ、俺は大丈夫だ。今は体調も落ち着いてるしな」

そうか、と返すと白哉は窓の外を見た

そしてポツリと呟く

「浮竹、すまなかった・・・」

「白哉?」

「私は、兄の心の傷を抉るような酷いことを兄に向かって言った」



兄は一度部下を見殺しにしているだろう、二度も三度も大差ないーーー・・



浮竹は白哉に言われたことを思い出し小さく首を降った

「ああ、もういいよ。それに、本当のことだしな・・・」

白哉の言葉に心が揺れたのは事実だが、実際そう言われても仕方がないことをしたのだ

白哉を責める気にはなれなかった

「本当にすまない。・・・私は兄に八つ当たりしたのだ」

私はルキアを突き放しながらも、心の底では心配し大切に想っていた

十三番隊に入ったときも、最初は周囲に馴染めずにいたが、浮竹と海燕という副官のお陰で楽しそうな顔が増えた、と風の噂で聞いて安心していた

それがあの日、自身の副官が死んだ日、浮竹はその場にいたのにも関わらず副官を見殺しにしたばかりか、ルキアを危険な目に合わせ、あまつさえ死んだ副官の遺体を遺族に引き渡させたというではないか

腸が煮え繰り返る思いだった

多少なりとも信頼していたのだ、この浮竹という男を

大切な義妹を預けても良いと思うぐらいには

「兄が許せなかった、ルキアの心に消えない傷を負わせた兄が・・・」

事件後、浮竹から直々に事情の説明と謝罪を受けても心の底では微かな怒りがずっと燻り続けていた

そこにきて、ルキアの処刑が決まった

心が揺れた

掟と約束と、自分はどちらを選択すべきか悩んだ

そして掟を守ることを優先させ、ルキアの命を切り捨てた

天秤にかけるまでも無かったはずなのに

「ルキアを見殺しにしても掟を優先させる、それが正しい事だと、自分の心とは折り合いをつけたと、少なくても表面上ではそう思っていたところに兄が来た」



明日なんだぞ!明日の正午にはお前の妹は本当にーーー・・



「どの口がそんな戯言を申すのか、と腹が立った」

浮竹は黙ってそれを聞いている

「私も兄と同じ、いや、それよりも酷いことをしてルキアを傷付けたというのにな・・・」

「だが、今、心から思う。ルキアが無事で、生きていてくれて本当に良かったと」

「白哉・・・」

ホッとしたような笑みを浮かべた浮竹に白哉も笑みを返した

「お前がそうやって本心を話してくれただけで俺は嬉しいよ」

「浮竹、これからもルキアを頼む」

頭を下げる白哉に浮竹が少し慌てたように、よしてくれ、と手を降る

「けど、これからは朽木にちゃんと"お兄ちゃん"してやるんだぞ?」

小さい子に言い聞かすように言われ、ムスッとした白哉と朗らかに笑う浮竹

けれど少しして、ああ、と聞こえるか聞こえないかの小さく呟かれた声に浮竹はニッコリと微笑んだのだった





fin.




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あきゅろす。
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