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蛇足

楓は自分の部屋から聞こえる彦星の声を一切遮断し、蛭池という年齢詐称疑惑の男について自分の中で、どのポディションに位置付けるか真剣に悩んでいた。


――俺ァ、蛭池ってんだ。よろしくな、楓。

――彦坊よ、その池ちゃんてなァいい加減やめねぇか。

――ったく彦坊にゃ敵わねぇなぁ………








わかんねーよ!!

俺の中に同級生であんなモン振り分ける空きフォルダはないぞ……!

ってか何だよ……!
俺か?!
俺が悪いのか?!
俺の視野が狭いのか?!
あぁぁもぉぉ
……わけがわかんねぇよ………










よし、保留。アイツとりあえず保留。俺の中でとりあえずアイツは……………“無”っつーことで。






楓が蛭池のポディションについてひとまず保留という事で気持ちの整理をつけると、今度はある事が気になった。


さっきまでやかましく聞こえていた彦星の声が、今はプッツリと途絶えているのだ。
楓は妙に思い自分の部屋へ戻ってみることにした。










ガサガサガサ……。

「……………………」

ガサガサガサ……。


「うぉ、おかえりー。」

ガサガサガサ………。
「……………何してんの?」

「?見てわかんねー?」

「………俺の荷物が荒らされてるっていう状況ならわかる。」

「荒らしてるんじゃねーよ!捜してるんだよ!」

「何を勝手にヒトの荷物から捜すんだよ?!結果的に荒らしてんだろ?!」

「いや!俺は荒らしじゃねーもん!」

「……いや、だから!論点はソコじゃないだろ?!」

「俺馬鹿だから難しい事わかんねーもん!」

コイツ……!
俺の中でキャラが薄くなったと思った途端コレかよ!
ごめん!お前キャラ薄くねーよ!
そうだよ、そうだよ。

コイツ……馬鹿だった。


「……とりあえず、だ。」

「おぅ!」

「何やってんだよ?」

「だから、捜してる。」

「だから何を……!」

「エロ本!」


「…………ダンボールに入ってた?」

「はいってねーみたいだ。」

「だよな?つーわけで……出てけ。」

「んでさ!捜したけどエロ本なくてさ!」

「出てけ。」

「そしたら、こん中手紙入ってて!」

「出てけ。」

「お前のかーちゃんからみたいでさ!」

「出てけ。」

「お前のケータイ解約したってさ!」

「出て…………はぁぁぁぁ?!」



馬鹿は俺だった。

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あきゅろす。
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