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蛇足

「まぁな、楓は察しがよくて助かるぜ。」

「まぁ、いいけど…、お金はちゃんと貰うよ。」

そう言うと、楓は自分の財布の中身の心細さに頭を抱えた。


余談であるが、最近楓は少しずつ両親からの仕送が減って来ており少々苦しい状況なのであった。


「ったく、当たりめぇだろーが。俺はんなせけぇこたぁしねーよ。ほら。」

蛭池は財布から5000円を取り出すと楓へ手渡した。

「5000円って…。どんだけ買う物あるんだよ?」

「ちょっと多いから荷物は彦坊に持ってもらいな。」

あぁ、だからさっき彦星を俺に付いて行かせるように言ったのか……。
彦星と買い物……。
凄くめんどくさそうだな。

「おー!俺は荷物持ちで楓は買い物係りな?!」

しかも張り切ってるし……。
買い物放棄したい。
えびせん食べなくていいから行きたくない……。


そうは言っても行くと言ったからには……、というか5000円受け取ったからには行かなくてはならないであろうこの状況に楓は深く溜め息をついた。


「ちっと多いからなぁ。楓覚えられっか?」

「ちょっと待ってよメモるか「だいじょーぶ!俺覚えられるから!」

「……今、蛭池君言っただろ?買う物多いって。彦星、自分を過大評価しちゃダメだよ。」

「かだいひょうかってな「後で説明するから!ちょっと話を先に進めるよ?!」

そう言うと楓はノートを破りメモる準備をした。

「ったくお前らの会話は、いつ聞いてもおもしれぇな。」

「俺ら大親友だもんな!」

全然大親友関係ないし。

「はいはい、そーだね。はい、蛭池君。何が欲しいの?」

「あー、えーとだな。まず冷やし中華だな、あとおでんのがんもと卵と大根と……………――――――………コッペパンとジャンプとサンデーとマガジンだな。」

「……………………」

楓は無言で買い出しメモを見た。
ノートの切れはしでは足りず、結局もう一枚破る羽目になった。
しかも、全ての調達品を言うのに軽く5分を要していた。

「よろしくな。楓。」
ポンと蛭池が楓の肩を叩く。

「多いよ!」

「だから彦坊が荷物持ちなんだろーが。コイツパワーだけは有り余っていやがるから安心しろ。」

「おー!楓、安心しろ!」

いや、お前が一番の不安要素だし!

「………はぁ、わかったよ。行こう、彦星。」

そう言って楓が彦星をつれて教室を出ようとした時だった。


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あきゅろす。
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