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蛇足

拒絶された。

楓は自分の鼓膜に残るよしおの言葉に息が止まるような感覚に襲われた。


近寄るな


確かによしおは楓にそういった。
それはどんなに思い返しても、どこまでいっても拒絶の色しか含まれていない言葉だった。


馴染めないクラスの中で、やっと自分から作った友達。

浮いているとか

一線引かれてるとか

違和感だらけの教室の中でやっとできた友達。

家族から見放された時に自分を助けてくれたのが彦星なら、馴染めない自分と学校という存在を唯一繋ぎとめてくれたのがよしおだった。




1週間前くらいだろうか。

楓が教師から呼ばれて職員室に行った事があった。

まぁ、用事というのは単に修学旅行の積み立てができてないけどどうすんだお前という内容だったのだが言いたいのはそこではない。

楓が生返事をして職員室から戻ると教室の中が何やら騒がしい。

楓は教室の扉にかけた手をピタリと止めて固まった。

普通ならば楓も気にせず教室に入っただろう。

だいたい教室は常に乱闘と隣合わせのような状況なのだ。
騒がしくない教室の方がハッキリ言って何倍も恐ろしい。

だがその時はそんな騒がしさではなかった。

教室から聞こえてきた言葉。

それは明らかに楓の事を話題にしていた。

その為楓は教室に入ることも、だからといってその場を立ち去る事も出来ず、ただその場に立ち尽くすしかなかった。

『なぁよしお。なんでお前三木なんかと仲良くしてんだよ?』

『関係ねぇだろ』

『つーか、あんながり勉オタクみたいな奴と付き合うとかマジ考えらんねーんだけど』

『だからお前らには関係ねーだろ!』

そう言ったよしおの声の後に、ガシャンという大きな音が教室から聞こえた。

多分よしおが机か椅子あたりを蹴ったのだろう。

楓は教室の前で冷静にそんな事を考た。

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あきゅろす。
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