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蛇足

「俺最近ちょっと彦星について気になる事があって……」

「気になる事?」

蛭池は楓の言葉にピクリと反応すると、正座で俯く楓を見つめた。

「うん、最近彦星が以前にもましてやたらスキンシップって言えばいいのかな?……とりあえずそういうのが、かなり増えてきたんだよね蛭池君も見てて思わなかった?」

困ったように蛭池を見てくる楓に蛭池は内心冷や汗をかいた。

彦星の過剰なスキンシップ。

それは見ている蛭池にも充分わかった。
隙あらば楓にくっつき、楓が視界から消えればすぐに楓を探し回る。

昨日などは風呂にまでくっついて行こうとしていたくらいだ。

多分彦星としては蛭池に自分と楓は仲が良いんだぞ、という事をアピールして早く行動の制限を撤廃して貰いたいのだ。

過剰なスキンシップは彦星の頭で考えた精一杯の蛭池へのアピールなのだろう。

涙ぐましい努力である。

そんな彦星の気持ちがわかる蛭池としては、彦星の一挙手一投足が微笑ましく思えて仕方がなかった。

しかしそれと同時に、彦星の過剰過ぎる楓へのスキンシップに彦星がいつか暴走しやしないかという不安も募った。

こうして楓までもが自分の所に相談しにくる程だ。

多分蛭池の見ていない所でもいろいろとやらかしているのだろう。

しかしそれは彦星が蛭池の助言を受けてからの行動であらり、今目の前で正座している楓の悩みというのは蛭池が作ったという事になる。

蛭池はどうしたものかと考え込んだ。

楓が彦星の気持ちに気付いてしまった場合、今の楓では確実に彦星を受け入れる事など不可能だろう。

「(……最近、俺は他人の事ばっか悩んでんな……)」

蛭池は内心溜め息をつくと、楓が話を続けるのを聞き続けた。

「俺もさ、だんだん彦星のいろんな行動には慣れてきたつもりだったんだけど……ねぇ蛭池君?彦星って昔から大親友にはあぁなの?」

「いや……別にそうでもないが……」

「そうなんだ。俺さちょっと思ったんだけど……彦星があぁいう行動起こすのって……もしかして俺にだけ?」


来た………

これは確実に楓は彦星の気持ちに勘付いている。

さぁ、どう動くべきか


蛭池はおずおずと蛭池の回答を待つ楓に、自分はどう答えるべきか考えた。

選択肢1
『彦星は誰にでもにあんな感じだ』

そう言って楓に彦星の気持ちを悟らせぬようにすべきか

選択肢2
『確かに、お前にだけだな。あぁいう事するのは』

そう言って彦星の気持ちが他とは違う事を何気なく悟らせるべきか


どうすべきか


「(つーか、これじゃあまるで恋愛シュミレーションゲームじゃねぇか)」


そうならば誰か攻略本をくれ。


蛭池は切実にそう思わずにはいれなかった。

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