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蛇足

「大親友にそんなん考えるなんておかしいよな?池ちゃんオレおかしくなった!」

もとからな。

そう言いかけた言葉を蛭池はとっさに飲み込み、ポンポンと彦星の肩を叩いてやる。

「おかしい事なんか何もねぇよ彦坊。だが彦坊、お前は一つだけ勘違いしてる」

「……勘違い?」

彦星が眉を歪めて泣きそうな顔で蛭池を見上げる。

「そうだ。彦坊は楓と大親友でいたいなんてこれっぽっちも思っちゃいねぇってこった」

「そんな事ねーもん!オレ、楓と大親友でいてーもん!池ちゃんの馬鹿!」

「彦坊、じゃあお前は大親友とエッチしてぇなんて思ってる変な男って事だな」

蛭池の言葉に今まで騒いでいた彦星が一気に口を噤む。

「彦坊は楓と大親友やっていたいわけじゃねぇだろ?彦坊は楓と




恋愛がしてぇんだよ」

「…っ!」

彦星は目を見開いた。

今までずっと心の奥でくすぶっていた気持ちが一気にはじけたような、そんな感覚だった。

今まで、自分で楓に大親友大親友と言うたびに、心の中に気付かない程小さなしこりができているような気がしていた。

そして、そのしこりは次第に大きくなり彦星の気持ちを圧迫していった。

何か大事な気持ちがせき止められてしまったような感覚が付きまとってはなれなかったのは……きっとこのせいだったのだ。

彦星は確信した。

「(オレ、楓とは大親友なんか……友達なんかじゃ足りなかったんだ……オレはオレは……)


楓と恋愛がしたい!」

「だろ?」

そう言ってニヤリと笑う蛭池に、彦星はコクコクと頷いた。

「池ちゃんはやっぱスゲー!さすがはあいのでんどーしだ!」

「まぁな」

蛭池はそう呟くと飲みかけだったイチゴミルクに口をつけた。

ミッションクリア。

蛭池はイチゴミルクを飲みながら、やり遂げた自分へのご褒美にこの後イチゴミルクを買いに行こうと心に決めた。

そして、そんな蛭池に対し彦星は終始何やら嬉しそうな表情を浮かべている。

そして突然何かを思いついたように顔を上げて蛭池を見上げると、とんでもない事を言い出した。



「なぁ、池ちゃん!男同士のエッチのやり方教えて!楓にヤりたいですって頼んでみる!」

その瞬間、

蛭池は飲んでいたイチゴミルクを盛大にむせかえした。

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