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蛇足

「楓ちゃんとよし君の馴れ初めは?」

………………

よしえさん…

馴れ初めって意味ちゃんとわかってますか?!

それは恋愛関係に入った最初を指すんですよ!?

あなたとタカシさんのお話じゃないんですよ!!

「えぇと馴れ初めっていうか仲良くなったきっかけですか?」

「そうそう!楓ちゃんみたいなお友達は初めてだからお母さん気になっちゃって!」

やっぱこの人馴れ初めの意味勘違いしてたー!

よしお君の同棲発言といい、よしえさんの馴れ初め発言といい……

どうも間違い方が危ないな。この親子。

「えぇと……よしお君と最初に話したのは……」

「話したのは?」




『おい、優等生よぉ。わりぃんだが俺らマジ腹へって死にそーだから何か買ってこいよ』

『ウルセェ!お前らオレらを馬鹿にしてんのか!』

『優等生よぉ、まさかオレらを馬鹿にしてんじゃねーだろーなぁ?あ゛ぁ?』

『ぶっ殺すぞテメーら!』




言えねぇぇぇ。
普通にこれは言えんだろ?!

『えーと、最初の出会いはお宅のお子さんに俺がパシられようとしたのが始まりなんですよー』

なんて言えるか!? 俺はパシられる潔さはあっても、それを笑顔で他人にお喋りできちゃう程の潔さは持ち合わせてないんだよ!


「えぇと…出席番号が前後だったので……それで」

ナイス俺。
柳川の『や』
三木の『み』
なかなかに出席番号も近そうじゃないか!!


楓が内心ガッツポーズをしていると、前に座っていたよしえの表情が残念そうに歪んだ。

「そうなの……私はてっきり楓ちゃんが学校の悪い子達にパシリにされそうになっていた所を、うちのよし君が颯爽と助けたのかと思ったわ……残念…」


………うん。
よしえさん?
言っていいですか。

俺お宅のお子さんにパシられようとしたんですが。

楓がよしえの残念そうな顔を遠い目で見つめていると、突然よしえは真剣な顔で楓を見つめてきた。

「楓ちゃん、これが最後の質問です。」

「はい。……え?!」

次で最後?!
なんか関係ない質問しかされてない気がするのは気のせいじゃないよな?!

「あの次で最後って……」

「そうよ?次で最後。何か問題でもあるかしら?」

目をパチパチさせて問いかけてくるよしえに楓は「いや……何でも…」と答えるしかなかった。

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あきゅろす。
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