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蛇足
コンプレックス





俺にリーダーなんかできるかよ

反抗するだけじゃ上手くいかねぇ

殴るだけじゃ上手くいかねぇ

アイツらに迷惑ばっかかけて

俺はどうすりゃいいんだよ。

わかんねぇ。

どうやったら俺はアイツらの望む強い学園を作れる?


俺、馬鹿だから考えてもわかんねぇよ……




俺、失敗ばっかだ……






-------
1年の時。


道本道明は1年の誰よりも強かった。

いつの間にか1年のリーダーと呼ばれ、周りにはたくさんの人間が集まるようになっていた。

道明は嬉しかった。

リーダーと言う、どこか自分にはしっくりこない肩書きも知らず知らずのうちに受け入れる事ができた。

それだけ嬉しかったのだ、本当に。


最初に因縁をつけてきた奴らと、喧嘩して勝った後は、いつの間にか仲間になって笑っていられる事が。

強くなればなる程、周りに増えていく“友達”と呼ばれる存在が。


中学の頃は、誰も自分の側には近寄ってこなかった。

親も

教師も

同級生も

問題児のレッテルを貼られ、学校で浮きまくっていた道明にとって蔦屋学園は始めて出来た“居場所”だった。

だから周りが道明に強いリーダーである事を望んでいるなら、なってやろうと思った。


無理やり自分達を従わせようとする3年や2年に先頭きって立ち向かった。

そして、道明は勝ったのだ。

上級生を相手に。

道明は強いリーダーだと誰もが思った。
道明自身、その時は迷う事なくそう思えた。


しかし、2、3年を倒した後の蔦屋学園状況は最悪だった。

今まで学園全体で一つのチームとして圧倒的な力を誇っていた蔦屋学園は、道明が引き起こした内部抗争によりズタボロになっていた。

その情報はすぐさま近隣のチームに伝わり、蔦屋学園は他の不良チームからここぞとばかりに叩かれるようになった。

指揮のとれていない集団は、ただの烏合の衆に過ぎない。

校内では学年同士がいがみ合い、外では様々なチームから狙われる毎日。


道明は自分の安易な行動により引き起こった、この事態に責任を感じていた。

どうにかしたかった。

この蔦屋学園を、またあの以前のような強い学園に戻したかったのだ。


だから2年になったら、まず1年をまとめようとした。

しかし、道明はここでもまた失敗を犯した。
早く、

早く、

学園をまとめなければ、

その焦りからか、道明は1年を従わせる為に暴力を振るった。

強さを見せつければきっと上手く行くと思ったのだ。


確かに道明は1年を徹底的に痛めつけ強さを示す事には成功した。

だが、予想外な事に1年は上手くまとまらなかった。

逆に大きな反発を招いたのだ。


あぁ、またやってしまった。



道明は後悔するしかなかった。

もちろん、昨年互いに揉めた1つ上とは上手くいっている筈もなく


2年目も蔦屋学園は内部がボロボロのまま迎える羽目になったのだ。


上手くいかない、


全然ダメだ。


俺に、リーダーなんか


無理なんだ。



道明はもうどうすればよいかわからなかった。


そして3年


今年だけは間違いは許されない。

今年が……

最後のチャンスなのだ。


学園をボロボロにしたまま終わらせるわけにはいかない。




道明はただ


仲間を

友達を


喜ばせばたかったのだ。

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あきゅろす。
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