蛇足
5
「では!みなさん方三年生と、1,2年がこんな風に仲良しになるためには一体どうしたらいいでしょうか?」
楓が大きな声でそう尋ねると突然、先程道明に頭を殴られていたフワフワの金髪の男が「はいはいはい!」と勢い良く手を上げた。
こう言うタイプは小学校に一人は居るよなぁと、楓は手を上げる男を前に思った。
まぁ、このタイプが正解を言う姿を、楓は居今まで一度も見た事はなかったが。
蛇足だが、彦星もこのタイプに数えられる。
「はい、えぇと……先輩どうぞ」
「大河速水だ!」
名前がわからず、とりあえず先輩と呼んだ楓の心情を察したのか、金髪は勢いよく自らの名前を叫んだ。
どうやらフワフワの金髪の彼は大河速水というらしい。
「じゃあ大河先輩、どうぞ」
「ぶん殴る!」
大河が自信あり気に言うと、周りからは「そうかー!」と納得したように頷いた。
……やはりこのタイプが正解を言い当てる事はないらしい。
大河の言葉に納得する声が大量に上がる中、意外にも一番賛同しそうな道明だけが腑に落ちない表情で周りに目をやっていた。
幸いな事にリーダーだけは多少頭のレベルが他よりは地に足がついているようだ。
というか!
「大河先輩!殴って仲良くなるとか普通無理でしょう!?」
「えぇー!何でだよ?!じゃあどうすんだっつーの!?」
何で何でーと大声で叫ぶ大河に、楓は彦星と同じ匂いをこの男から感じた。
多分、このメンバーの中で最もバカなのはこの人であろう。
間違いない。
楓のやんわりと失礼な事を考えていると、大河は眉を一気に潜めると楓に向かって身を乗り出してきた。
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