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蛇足
4

道明はそう思うと、とっさに隣に座って大爆笑している仲間の一人を勢いよく殴った。


「オラ、もうからかうな!テメーら黙って聞け」


そう道明が言った瞬間楓は、自らの耳を疑った。

まさか、ここでこの道明がかばってくれるとは。

「……道明先輩……」

楓が若干道明へと感謝眼差しを向けた時だった。

「ったく、いいから早く説明しろ!このへたくそ!」

その一言に道明への感謝は一気にしぼんでいった。



下手で悪かったな、このサル共め!?

楓はどう頑張っても口には出せないそのセリフを何度も口の中で反芻させた。

だから気付かなかった。

その間、道明がジッと楓の事を見つめている事になど。

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「えーと、では気をとりなおして……」

楓はチョークを片手に男達へと体を向きなおした。
しかし、男達の中には、未だにコソコソと楓の絵に関して笑いあっている奴らが居る。

………こう、笑いが1ヵ所に留まり持続する所など、まさに小学生のようではないか。

こう言う奴らは無視するに限る。



「あんな人間居ないよなー」

「居たら怖いぜ」

「ははは、何回見ても無理。笑うわ」


………無視とか無理。

楓はヒクつくコメカミを抑えながら深呼吸すると、勢いよく黒板を叩いた。

すると、今までコソコソしていた男達の方がビクリと揺れる。

「人の話はきちんと聞く!」

「「「……はい」」」

楓の厳しい言葉に喋っていた男達は瞬間的に大きく頷いた。

そんな彼らの様子に楓は少しだけ胸がすっとするのを感じた。

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