蛇足
大親友編
「コイツら楓の友達?」
「え…いや」
「友達だよなぁ、優等生。」
「友達だから何か買ってきてくれんだろー?」
「オメェは関係ねーだろーが!さっさと消」
消えろと言う不良Dのセリフを楓が最後まで聞くことはなかった。
否、聞けなかった。
なぜなら、不良Dは綺麗な弧を描き教室の端まで吹っ飛んで行ったからだ。
ガッシャーン…………
ドサッ
ワンテンポ遅れて教室にガラスが割れる音と不良Dが落ちる音が鳴り響く。
「…………っ!よしお〜!」
どうやら吹っ飛んだ不良Dはよしおと言う名前らしい。
不良Bは不良Dもといよしおの元へと駆け寄る。
教室の中が騒然となる中、楓は吹っ飛んだよしおを吹っ飛ばした人物を凝視しした。
「…………ひ、彦星……」
「ってめー!」
「よくもよしおをー!」
そんな中、不良A、Bがお決まりとも言うべきセリフを吐きながら、二人がかりで彦星に殴りかかってきた。
ばこっ…………。
どすっ…………。
どさっ。
ばさっ。
「………っ!てつやー!たけるー!」
どうやら吹っ飛んだ不良AとCは、てつやとたけると言うらしい。
楓は立っていた。
目の前で繰り広げられたハリウッドさながらのアクションシーンを前に、自分は映画を見ている観客のようであるとさえ思えた。
そうであればどんなに幸せであろうか。
楓が現実逃避をしかけた時だった。
スクリーンの向こう側だと思い込みたかった人物が楓をゆび指して叫んだ。
「楓はオレの大親友だ!!」
その瞬間一斉に教室に居る意識ある者達が楓を見た。
楓は確信せざるおえなかった。
自分もこの映画の登場人物なのだと。
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