蛇足
心配
三木楓は不安で仕方なかった。
その原因は、現在不在の堀田彦星にあった。
食べ掛けで取り残された手作り弁当を見て、楓ははぁとため息をついた。
「彦星………大丈夫かな」
「大丈夫だろ。彦坊なら」
「でも、さ。あれ、どう見ても呼びに来たの3年生だったよね?彦星殴られてたらどうしよう?蛭池君!ねぇ、メールしてないで少しは真面目に考えてよ」
楓は食べていた弁当から箸を置くと、顔すら此方に向けずひたすらメールに集中している蛭池へ避難の目を向ける。
しかし、それでも尚蛭池はケータイの画面上から視線を動かす事はなかった。
「お前も心配性だなぁ、楓。彦坊ならちょっとやそっとじゃ殺されねぇから安心しろ」
「でも………」
面倒そうな蛭池の応答に、楓がさらに不安そうな声を上げた時だった。
「おい、楓。お前さっさと食えよ。昼休み終わっちまうぞ」
「………よしお君」
楓が振りかえると、そこには不機嫌そうな表情を湛えて仁王立ちするよしおの姿があった。
「でもさ、彦星が……」
「あぁぁぁ!!くそっ!!うぜぇな!堀田より弱いお前が、いらん心配してんじゃねぇよ!うっとうしいんだよお前!」
よしおは楓の机を思いっきり叩いて、楓を睨みつけるとフンと鼻を鳴らした。
あぁ、気に食わない。
本当に、
気に食わない。
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