蛇足
3
蔦谷のトップ。
やたらとその部分を強調して口にする男は、未だに無表情を崩さない彦星にニヤリと笑いかけると、彦星の目の前まで軽い足取りで歩を進めた。
「なぁ、何でだ?堀田彦星?」
「楓と居る時間が減ったら嫌だから」
「は?」
彦星の口から出てきた思わぬ言葉に男は、眉を潜めるとポカンとした表情で彦星を見つめた。
「おい、そりゃ」
どういうことだよ?
男がそう口にしようとした瞬間だった。
キーンコーンカーンコーン
その教室には中々似つかわしくない、しかし学校と言う場所にはとても当たり前で、自然な音がその教室に、いや学校中に響き渡った。
「あぁぁぁぁぁ!!!」
「あ!?」
そして、そのチャイムの音に負けず劣らずの音量で、今まで静かかつ無表情だった彦星までもが大声を響かせた。
そんな突然の彦星の変化に、今まで余裕の表情で彦星に対していた男までもが驚いて彦星を見やる。
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