蛇足
カツアゲ再開
「嘘だ!うーそーだ!あんた、頭湧いてんじゃない!?」
「えぇぇ……ちょっと、さすがにそこまでよしき君に言われる筋合いないんだけど」
物凄い剣幕で否定してくるよしきに楓はムッとすると、眉をしかめてよしきを見た。
そう、これでも2年の時から学年順位も全国模試も常に1位を取り続けてきたのだ。
あまりその事を他人に知られるは嫌だった為、成績の事はあまり口にしないようにしてきたが、さすがにここまで言われては黙ってはいられない。
「あのねぇ、言っとくけど俺さ、これでも明中で結構成績良かったんだよ?」
楓の少し得意気なその言葉によしきは更に目を見開くいた。
しかし次の瞬間にはすぐに疑惑に満ちた目を楓に向けると、店の奥に向かって一気に声を上げた。
「ちょっと!かーさん!かーさん!!」
「な!よしき君、君何でよしえさん呼んでるの!?」
客の居ない店内に突然響き渡った声に楓は度肝を抜かれてよしきの肩を掴んだ。
しかし、そんな楓の慌てた様子など、よしきは一切気にする事なく「どうしたのー?よしちゃん」と言ってのんびりと駆け寄ってくるよしえを手招きした。
「母さん!コイツちょっと頭おかしいよ!」
「ちょっ!君の失礼さ半端ないよ!?何本人目の前にして言ってんの!?」
「えぇー、よしちゃんたらぁ。楓ちゃんの髪型はこれと言って特徴のない普通の髪型じゃない?変な子ねぇ」
「えぇ……?よしえさん?何だか、たしなめ方がおかしいですよ……!」
「違う!髪型じゃない!おかしいのはコイツの脳味噌!」
「よしき君、なんか君の発言がだんだん頭悪くなってきてるよ……?」
「アンタに言われたくないよ!?」
「ふふふ、二人共兄弟みたいねぇ」
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フラワーショップくるるんでよしきと楓がよくわからないやり取りをしている頃。
よしおは……
「ちょっとお客さん。乗るの?乗らないの?」
「……………」
「……乗らないなら行きますよー?」
「……………」
「他のお客さん待ってるから、もう行きますよー、ドア締めまーす」
「……おい!」
「何?お兄さん、乗るの?」
「……家まで着払いとかって」
「……タクシー拾いな?じゃ、ドア閉めまーす」
無常にも閉められた扉。
走り去って行くバス。
そして100円すら入っていない
財布。
よしおはただぼんやりとバスの背を見送ると、どうにもならないこの状況にポツリと呟いた。
「あー、久しぶりに……カツアゲ……やっか…?」
久しぶりにやると決めたその行為は、どこかほろ苦い感じがした。
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