蛇足
2
「(あぁ、あの時の目と……同じだ)」
偏差値が低いから行っても意味がない。
時間と金の浪費。
よしきの目は、あの日、楓が家を出た日に母親に見つめられた目と全く同じ目をしていた。
無駄
無駄
無駄
無駄
無駄ってなんだ……?
誰がそう言った……?
「(他人が俺の人生を……勝手に……決めるなよ)」
俯いたまま動かなくなった楓に、よしきはそれを楓の肯定の意だと受け止めたのか楽しそうに、クックッと小さく笑った。
「なに、やっぱり自分でも無駄だと思ってるんだ?そうだよね。うちの“お兄さん”だってきっと同じように思ってるはずだよ。けど、あいつは馬鹿だから絶対その事を認めたりしない。毎日馬鹿やって、生産性のない毎日を日々楽しいと思いこみながら過ごしていく。それがアイツの高校3年間だよ。馬鹿らし過ぎてもう笑えちゃうよ」
なんで無駄だと決めつける?
なんで、自分の兄の事をそんな風に言う?
なんで。
「というか、これはアイツだけに限った話じゃないな。あの馬鹿高に通ってる生徒には全員に言えることだね。あんな、授業もまともにされてないような学校で何かを学ぼうとしても、所詮無理な話。まぁ。勉強したいなんてそんな考え持ってるやつ、あそこに居るとは到底思えないけどね」
偏差値が低い、それがどうした。
向上心がない、どうしてそう言い切れる。
なぁ、これ以上……俺の友達を
「馬鹿にするなよ」
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