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御免こうむります
一足先に、猫としろ(3)


しろの家は玄関の扉も、どの部屋の扉も、いつも少しだけ開けてある。
その理由はしろがズボラなのもあるのだろうが、俺がいつでもどの部屋にも入れるようにするためだ。

だから、俺はいつからか、一日のどこかには必ずしろの家に来るのが日課になっていた。

しろはいつも食べ物を出してくれる部屋へと入ると、戸棚に入っている袋を乱暴に取りだした。

そこには、いつもしろがくれる“ぱん”という食べ物が入っているのだと、俺は知っている。

「キジトラ、今日は学校サボるからフレンチトーストな」

「にー?」

ふれんちとーすと?
それはいつもくれる“ぱん”とは違うのだろうか。
俺が首をかしげると、そんな俺にしろは機嫌の良さそうな顔で俺の頭を撫でた。

「うめぇぞ」

「にゃあ、にゃあ」

どうやら、いつものぱんとは違うものらしい。

俺はしろがいつもくれる赤いやつや黄色いのをつけたぱんも美味しいと思うのだが、それよりも美味いという事だろうか。
それはとても大歓迎だ。

俺がまだ見ぬふれんちとーすとに尻尾をピンと垂直に立てると、次の瞬間しろの持っていた四角いモノがうるさく鳴り響いた。
俺はその突然の大音量に驚くと垂直に立っていた尻尾の毛がブワっと逆立つのを感じた。

「ったく、んだよ……こんな時間に」

「にぃ?」

しろは鳴り響くモノに途端に不機嫌になると、四角いのを見て更に眉間に皺を寄せた。
しかし、すぐにそれを耳に当てると「なんだよ」とソレに向かって話しかけた。

こういう光景は俺もよく外で見た事がある。
人間と言う奴は本当に面白いもので、あの四角いものに向かってよく話しかけている。どうやらその場に居ない人間と話す為のモノらしいが、俺から見れば滑稽極まりない。


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あきゅろす。
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