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番外編「」
大好き、野伏間くん(1)


野伏間君が熱を出した。
インフルエンザらしい。
もちろん、野伏間君の姿は学校にはない。
そういえば、今日から野伏間君の部屋は隔離するんだと、保険医が言っていた。


だから、俺も野伏間君の部屋には入ってはいけないと。
俺、野伏間君の彼氏なのに、恋人なのに入ったらいけないんだと。


そう言われた。


「そんな言う事を俺がきくわけがないっ!」


俺は急いで店員君の居るコンビニへ行って雑炊の元とコーヒー牛乳、それに冷えピタを買うと袋を振りまわしながら野伏間君の部屋まで走った。
そんな俺の後ろ姿を店員君がなんとも言えない顔で見送っていた。


「ひゃっほう!」


ちなみに今は授業中だがそんな事は知らない。
野伏間君の居ない教室など、コーヒー牛乳のないコンビニくらいあり得ない。

いや、決して授業をさぼりたいとかそういうのではない。
だって、野伏間君の居ないなんてつまらなくて仕方が無いじゃないか。

俺はなんだか心細い気分を紛らわせるために、手に持っていた袋をめいっぱい振りまわしたら袋がちぎれて中身が廊下に散乱してしまった。

「ひいいい!」

最近のビニール袋のもろさを知った。
俺は誰も居ない廊下で一人あわあわしながら商品を拾うと、腕の中にそれらをおさめ、全力疾走で寮まで走った。
野伏間君は、きっと寂しくて泣いてると思うので俺が早く行ってあげなければならない。

熱の時こそ恋人の本領が発揮されるんだい。


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