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番外編「」
足手まといのバカ

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そんな高校時代も、折り返しの時期に突入した、ある日。




何故か教師から、生徒会の副会長として立候補してくれと懇願された1か月前。


何故か副会長職以下の職全てに、かなりの立候補者がおり、それならどうして自分が立候補させられたのだろうと不思議に思った25日前。


理由は、ある少年が生徒会長に立候補すると言う話しを聞き、皆一斉に生徒会の副会長、及び書記に立候補したのだと知った23日前。


職員室で、一人の少年が生徒会長への推薦後見人をしてくれる友達が見つからないと本気で泣き喚きながら教師に相談しているのを目撃した20日前。


廊下であの少年が、一人の体の大きな少年を前に土下座して推薦後見人になってくれと叫んでいるのを目撃した、15日前。


生徒会選挙当日、推薦後見人の欠席により、突然あの少年がステージの上で自画自賛の自分推薦文を読み始めた、10日前。


しかも、彼が今年度唯一の生徒会長立候補者だと知って唖然とした、同じく10日前。


生徒会室で、少女が例の少年と隣り合わせで席に着き、新しい生徒会役員となった、1週間前。


そして。


少年の仕事の遅さとミスのせいで、生徒会全員が放課後、居残りとなってしまった、



現在。



「新谷君。みんな、あなたのせいでこんな時間まで学校に残る羽目になってるんですよ。もっと、間違いのないようにしっかりしようと思わないんですか?成長する気がないから、いつも同じ間違いばかりするんじゃないですか?」

「……すすすす、すみません!!」


パソコンのキーボードを一回一回確認しながらトロトロ文字を打ち込む少年に、少女は苛立ちながら言い放った。
どんなに怒っても、どんなに注意しても、少年は全ての作業が遅かった。
ミスも多かった。


彼は成長する気配を全く見せない。


「新谷君、私は職員室にあっちの書類とさっきの話し合いの決定事項を伝えてきますから、それまでには終わらせておいてくださいね。いいですか?」

「はっ!はい!わかりました!了解です!」


そう言ってコクコク頷く少年に、他の生徒会役員は何やら微笑まし気に彼を見ていた。
その態度が、何故か少女をイラつかせる。

少女は眉間に皺が寄らないよう、必死に無表情を作ると、少女は楽しそうな生徒会役員を横目に部屋を出た。


どうして、彼のせいでこんなに帰りが遅くなってしまっているのに、皆、あんなに笑っていられるのだろう。
どうして、話し合いでもあの少年のせいで話しが先に進まなくなてしまうのに、誰も文句を言わないのだろう。

あのへらへらした少年のせいで、上手く生徒会が回らない。

話しがスムーズに進まない。

あぁ、あのヘラヘラした顔が無性に腹が立つ。
将来に何の不安も、恐怖も感じて居ない、能天気なバカ。
あの能天気さが周りを笑顔にする。

あの能天気な男が生徒会長だから。
そんな理由で今年の生徒会は副会長以下の職が激戦となった。

しかし、少女は彼に苛立ちしか感じない。
無能で、バカで、役立たず。

なのに、周りから支持を得、生徒会長になった。

何の努力もなしに。

彼は、自分の持っていない自由を謳歌している。


少女は心の片隅に感じる少年への……自由への嫉妬に、更に腹立たしさを感じると急いでその足を動かした。

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あきゅろす。
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