転生してみたものの
お母さん
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エピローグ2:お母さん
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夏休み終盤。
俺は朝から走っていた。
「うわーっ!」
俺は一人庭の片隅で、目の前に映る光景に歓声を上げた。
今までこっそり、こっそり、育ててきたモノが今日、ようやくその実を実らせたのだ。
「お母さん!お母さん!」
「なに?どうしたの、敬太郎?」
俺はキッチンで忙しそうに朝ごはんの食器を洗うお母さんを大声で呼ぶと、庭の奥の方に置いていた小さな鉢植えを居間の窓から顔を出すお母さんに見えるように持ち上げた。
「トマト!真っ赤になった!」
「あら、良かったわね?昨日まではまだ青かったのに」
俺はそう言って喜ぶお母さんのところまでトマトを持って走ると、勝手口からスリッパをはいて庭に下りてくるお母さんの前にプチトマトの鉢を置いた。
「これ、今からイチローの所に持ってくんだ!」
「はぁ?今から?もうちょっと待ったら?まだ7時よ?」
「嫌だ!今から持っていく!」
「ちょっと!待ちなさい敬太郎!」
そう言って俺の腕を掴もうとする母さんに、俺は思い出したように鉢の中で真っ赤に色づくプチトマトを一つちぎり、そして……
「お母さんに上げる!」
「へ?」
俺は一つだけちぎった真っ赤なプチトマトをお母さんの前に突き出すと、お母さんは、驚いたような表情を浮かべ俺の腕を握ろうとした手で、とっさにそのトマトを受け取った。
取れたての、俺が今年初めて作ったトマトだ。
「お母さん!いつもありがとう!」
「っ!」
俺が笑顔でそう言うと、お母さんは更に驚いたような目で俺を見た。
その目が、なんとなく恥ずかしくて、俺は植木鉢を持ちあげると、そのままお母さんに背を向けて駆けだした。
「敬太郎!」
すぐ後ろからお母さんが俺を呼ぶ声が聞こえる。
「いってらっしゃい!」
聞こえてきた、嬉しそうな声に俺が振り返るとお母さんは笑いながら俺に手を振っていた。
「いってきます!」
俺は少しだけ赤くなった顔を隠す様に、すぐに前を向くと、大きな声でそう叫んだ。
向かうは、俺の幼馴染、
イチローの家。
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