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未知との
8.勉強開始です
『団地くん達と一緒にいたいから』


そう言った咲は、何故かひどく寂しそうな、縋るような目をしていた。

思えば咲は最初に出会った時も、同じような目をしていた。

まだその時は単に無表情な奴だと思って気付く事もなかったのだが。

しかし今ならわかる。

団地はそう思った。

2ヶ月という時間を共にした今なら。

咲は無表情だ。
しかし無表情の中に咲の感情は微かに現れる。

安本によれば、それこそたまに笑顔になったり(一度しか見たことはない)する事はあるらしいのだが、咲は基本無表情。

だからといってイコール感情がないわけでは、当たり前だが決してない。

例えるなら今勉強する団地の隣で本を読んでいる咲。

端から見ればただの無表情。

しかし実際は


「咲、楽しそうだなぁ」

安本はまじまじと咲を見つめながら呟いた。

咲が道本の『邪魔なんだよ』発言に落ち込んだ後。

道本は団地に加え安本からも怒りの鉄拳をくらい再度頭を抱える羽目になった。

道本にしてみれば、全く意識せず言った一言で咲がそこまで気にするとは思っていなかったのだろう。

(基本、道本は子供だろうが何だろうが口が悪い)

慌てて謝罪した道本だったが、その謝罪の仕方もやはり口の悪さが先行していた。

『俺の言う事はあんまし意味ねぇから気にすんな!マジでウゼェから!』

その瞬間再度安本から怒りの鉄拳がとんできたのは言うまでもない。

そして現在。
咲の登場により団地と道本は無事に玉泉院でテスト勉強を行っているわけである。


「お前……つまんなくねぇのか?マジで」

勉強の手を止めて問いかける団地に咲はコクリと頷く。

「一緒なだけで楽しい」

「咲、お前それかなりの殺し文句だな」

咲の言葉に道本が感心したような声をあげる。

「うちの咲は純粋なんだよ。それにしても団地。お前、咲にだけはやっぱり性格変わるなぁ。……頼むから手だけは出してくれんなよ?」

「出すか」

顔をしかめて安本を睨む団地を咲は不思議そうに見つめた。
「(手をだす?手……?)」

そんな咲の疑問を知ってか知らずか、安本は笑いながら出来上がったコーヒーを団地と道本の前に置いた。

「さぁ、冗談はさておき。お前らマジで勉強しろ。進級かかってんだろ?」

「わかってるっつーの!さ、団地やるぞ!」

「……はぁ」

ため息をつく団地を咲はジッと見つめ小さく「頑張れ」と呟いた。

「………おぅ」

団地は少しだけ気合いを入れると教科書を開いた。


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あきゅろす。
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