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優しさなんて欲しくなかった、といえば嘘になる。
どんなカタチであってもあの人に触れて欲しかったから。
あの人の温もりを知りたかったから。
だから、後悔はしていない。
ただ、あの人の優しさにつけ込んだこと、あの人が情けで自分を抱いてくれていることがいつも胸を痛く締め付ける。
でも、離せない。離したくない。もう自分はこの恋に狂ってしまった。
自分の部屋とは違う薄暗い闇の中で、聞こえてくるのは、ベッドの軋む音と卑猥な水音。それから、自分の鼻にかかった愛嬌と愛している男から時々漏れる短い切なげな声だけ。
俺に覆いかぶさる彼の顔は暗闇でうっすらとしか見えない。見たいとも思わない。
見なくても分かっているから。
彼が目を瞑っていること。俺を抱いていることを後悔をしていること。
……ごめんね、部長。それでもまだ、離さないで。もっと抱き締めていて。
「……ぁ……ぶ、ちょ……」
彼に縋るように伸ばした腕を、簡単に背中に回してくれる。
その優しさが痛い。その優しさがスキ。
「……越前」
俺を貫きながら切な気に自分を呼んでくれる声。
彼のモノになれた気がして、彼が俺だけを見ていてくれてる気がして幸せになる。
だけど、それは束の間の夢だって分かってるよ。今この時だけだって。
大丈夫、この時以外は迷惑かけないから――
「……ぁああ……! ぶちょ……」
腰の律動が激しくなり、昂ぶられていく。
部長の大きな手は今にも弾けてしまいそうな俺自身へと伸び、律動に合わせて上下に動く。
「……ぶちょ、……い、イクっ……!」
あまりの快感に身震いしながら、彼自身を締め付けてしまう。
「……っ、」
そのせいで彼からも小さな呻き声が漏れた。動きも忙しないものとなる。
「……あぁぁああ!」
そして、俺達は白濁としたものを互いに解き放った。
「……『 』」
朦朧とする意識の中、伝えられない気持がいつか溢れてしまわないように暗闇の中で、震える唇を微かに動かした。
音にはできないたったひとつの愛の言葉を――
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