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Mystery
ママの夢
母が亡くなり、葬儀を出したのですが…


私の実父は飲んだくれだったそうで、家にお金も入れず、母は近くの豆腐屋や米屋に食べ物を借りに行くような生活に見切りをつけ、姉と私を連れて関西に出てきたそうです。
そこで知り合った義父と再婚したのですが、義父は田舎の大地主の長男で、義父の親は世間体を気にして長男が子連れのバツイチ女と結婚するのを親戚にも隠してました。
私や姉は、「母の年の離れた妹」ということになっていて、母は初婚と言うことになっていたのを知ったのは母の葬儀の時だったのです。

葬儀の時、義父の母親(義理祖母)が私と姉に、
「アンタらはお母さんの妹だと皆に言ってるから、葬式の時に「お母さん」って呼んだらあかんで」
と言われたのです。

葬儀が始まって最後にお棺にお別れの花を供える時…私達姉妹は最後の最後に後回しにされ、最後の母の顔もわずかしか見ることができなくて、
「ママ!」
と呼びかけることも許されなかったこの理不尽な扱いに私の怒りは頂点に達しました。

二度とコイツ(義父)には逢わない!と心に誓いましたが、宗教上四十九日までは毎日お経をあげに通いました。

そして、実家に行くこともなく、仕事も出るようになり普通の生活に戻ってました。

その頃は安アパートを出て、店の近くの文化住宅に引っ越してました。

ある夜、夢を見ました。
家のドアをノックする音が聞こえて玄関に行くとドアが開いて…真っ白い着物を着て、白いシーツみたいな布を両手で持っている「母」でした。
「パパ(義父)に逢いなさい…」
と母が言うのです。
「嫌や!何でアイツと逢わなあかんの!」
と私は泣きながら言ってます。
「パパに逢いなさい…」
母はそれだけ言うと消えていきました。
目が覚めたと言う方が正しいかもしれません。

夢をみた次の日は「百箇日」で、母が亡くなって100日目に当たり、宗教上の供養の日で、この日に魂がこの世からいなくなる日とされています。


私がそれを気にしていて、そんな夢を見たのか…
母がこの世の最後に私に逢いたくて、夢に出てきたのか…


私は後者であったことを願ってます。



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あきゅろす。
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