Mystery
虫の知らせ
19歳の夏。
私は他のホステスさんより早く出勤して店内の掃除と開店準備をするのが雇ってもらった当初からの決まりでした。
その日も夕方に入店してこれから掃除しようかと思っていたら店の電話が鳴りました。
電話に出ると義理の父(母の再婚相手)からでした。
「お母さんが交通事故に遭った!すぐ病院へ来い。」
病院を聞くと、店のママに理由を言って原チャリで病院に向かいました。
(交通事故って…骨折とかしたんかな?腕とか足とかもげたんかな?)
義父がすぐ来いと言うぐらいやから、ただ事じゃないな…と感じながら病院へ着き義父と会いました。
母は手術中でした。
一時間くらい待っていたら病院の先生らしき人が来て、状態を説明しました。
「頭の後ろを強く打ってます。手術は終わりましたが…今は自分で息をすることもできません。」
「………。」
私も義父も言葉になりません。
「母は植物人間になってしまうんですか」
私は先生に聞きました。
「良くて…植物人間です。」
悪いと「死」なんだと理解できました。
母はICUに移されていて、病室に入れてもらえました。
顔には外傷はほとんどなく、優しい顔の母が目を閉じてました…
「ママ…どうして」
母はチャリを手で押して横断歩道を渡っていた時にダンプに跳ねられたんです。
いつ、母の状態が変わるか解らないので、私と義父は病院のロビーで寝泊まりすることにしました。
ICUがある棟のロビーには私達のような家族が何人か寝泊まりしてました。
ずっと病院にいても、食事やらお風呂に入るとかは一度家に帰ってました。
義父がお風呂のために家に戻った時のこと…
家の電話が鳴って取ってみると、2年以上連絡がなく、どこにいるか解らなかった姉からの電話でした。
事故前に家に贈り物を送ったらしく、届いたか聞きたかったから電話したそうです。
義父がお風呂に帰ったわずか30分の間に…
「ママが逢いたかったから呼んだんやろなぁ」
と思います。
姉は慌て病院に駆けつけ、何日か後の母の最後を看取ることができました。
そんな姉はまた行方不明ですがね
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