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Mystery
姉が置いていった物
中学を卒業すると、進学せず工場に就職しました。寮生活でしたが嫌になり飛び出してしまいました。
家に戻ることもできずにどうしようかとブラブラしてましたが、以前姉が働いていたスナックで雇ってもらおうと思いつき、スナックに行き、安い給料で住み込みで雇ってもらいました。
店は一軒家が三軒続いていて、喫茶店と空き家とスナックと並んでました。
スナックはママの自宅になっていて、私はその隣の空き家の二階の一部屋を借りてました。
空き家の一階は雀卓が置いてあり、よくママとママの知り合いが麻雀をしてました。
店が終わるのは夜中の2時。
一階で麻雀をしてる時は賑やかでいいのですが、麻雀をしてない時は広くてガランとした一軒家に一人きりです

その頃はテレビも高くて買えず、ラジカセだけでラジオを鳴らして怖さを紛らわせてました。そんなこんなで何ヶ月が過ぎた頃には、友達もできて、楽しく生活してました。
そんなある日のこと、店のママが変な物を持ってきました。
「愛ちゃん、コレ、あんたの姉ちゃんが置いていった物なんやけど…こんなの捨てるわけにもいかないからアンタ持っとき」
と手渡された物は…
創〇学会の神棚みたいなもの。中には小さな掛け軸がかけてありました。

(こんなん嫌やなぁ)
と思いながらも、部屋の隅に置いて、そのまま存在を忘れてました。


ある夜、店が終わり、部屋に戻ったのは2時すぎ。
その日は麻雀もしてなくて、静かでガラーンとしてたのでいつものようにラジオを聞きながら寝てました。

「?…」

なんか騒がしい…
おばちゃん達が大勢で話しをしてるような声が聞こえてきます。
「外にいるのかな?」
と思ったけど…声は近くで聞こえてくるのです!
すると聞いていたラジオが急に変になり、何語かわからない放送が流れてます。
「何や?これ!」
すごく怖くなって布団をかぶりこみ、いつの間にか眠ってました…
次の日、一人で部屋にいるのは嫌だったので、友達の男の子に泊まってもらい店が終わってから二人で部屋でおしゃべりしてました。
布団に入りしばらくすると…
聞こえて来るんです。
あの大勢の話し声が…
この日の声は、もう何か話し声と言うより、言葉とかではなかった感じです…
気になりながらも友達と話しを続けていたら友達が
「何や?何やこれ?」
と変な顔してます。
ああ、この人にも聞こえるんや…と思い、後は二人で抱き合ってガタガタしてました。

次の日、何が原因なのかと部屋を見渡すと…埃をかぶったアノ神棚らしき物が…
直感でコレだっ!と感じ、すぐにそれを学会の支部に持って行って置いてきました
支部の場所を教えてくれたのは隣の喫茶店のおばちゃんでした。

案の定、その日からは何も起こりませんでした。

その一軒家は今は中華料理店になってます

奉りもしない物は置かないでおきましょうね

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あきゅろす。
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