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holiday 拍手文



日常と非日常の境目


このシフトする瞬間が堪らなく好きだ、背徳感と優越感、真逆の感情が感じられるこのひととき‥‥‥


有給休暇を貰い娘に会いに行き、思春期を迎えつつある娘に邪険にされ、母親からはいつまでも小さい子供のようにお小言をもらう。そんないつもの休暇。


華々しいテレビの世界など嘘のよう、そびえ立つきらびやかなビルの合間を派手なアクションで駆け回り、飛び交う銃弾、燻る煙りの臭いも、錆鉄の血の臭いもしない、死線ギリギリの命のやり取りも全て無かったようだ。


縁側に寝転び、家の向かいにそびえる山を見つめる。夕日に染まった稜線に薄紫から茜の色に染まった雲‥‥なにも変わらない場所‥‥


ふと、あいつはこんな風景は見たことがあるのだろうかと思う。たしか、生まれも育った地もシュテルンビルド、あいつのことだから、両親を失ってからろくに外にはでなかったのだろう。来る日も来る日もウロボロスの手がかりを求めて‥‥
それだけが自分と両親を繋ぐたった一つの絆であり、生きてくための力だったのだろう。つまらなく悲しい人生だったのかもしれない‥‥‥


「また、お節介っていわれちまうなぁ〜〜」


ぽつりと独り言をもらし、いつかこの風景を見せようと思い、ケータイを空にかざし、茜雲をぬきとった。


なんていうかな?これを見せて田舎に一緒に行こうって言ったら?きっと照れ隠しに皮肉の一つでも言って、笑ってくれるだろうか。俺の田舎に来るんだから、家族にも紹介しよう。楓にもNEXTの力が目覚めたからもう自分のことを隠すのは止めて打ち明けよう。そして、バニィを紹介しよう。‥‥なんて紹介しよう、昨夜の事を思い出して顔が赤らむ、いつものように仕事明けにアイツの家に寄って、一緒にディナーするだけって行っていたのに、玄関に入るなり盛りやがって、なし崩しなのはいつもだけど‥‥いつもに増してしつこかった。絡まる舌も背中をかき抱かれるのも嫌いじゃない、けど、いつも、いつまでも熱が燻るような抱き方をするのが堪らなかった。今だって、思い出してしまい、身体が熱くなりそうだ‥‥本当になんて言って紹介しよう‥‥

「こっ‥‥恋人?いやいやいや、同僚?普通わざわざ同僚は紹介しないか‥‥バディ‥‥相棒‥‥で、いいよな‥‥//////」

ジタバタと突っ伏しながら考えを巡らせる。はたとして、何してるんだろ‥‥あ〜〜〜顔がほてる‥‥まさか、この歳で人生2度目の大恋愛をするとは思わなかった。再びジタバタとしてしまう。楽しい、嬉しい、じれったい。幸福な感情‥‥楓、喜んでくれるかな?あいつのファンだから、驚くだろうなぁ〜〜。机の中凄かったもんな〜〜俺なんか半分に切られてたし‥‥複雑な気持ちだ。


あ。でも、パパとしての株はあがるかな?癪だけど‥‥


綺麗だなぁ〜〜バニィも綺麗だって言ってくれるかなぁ?あいつ今何してるんだろ?この時間は事件が多発する時間だから、ヒーローTV中かな?俺、いないけど‥‥‥あいつなら大丈夫か‥‥ちと、寂しいな‥‥


一人、思案を巡らしていると、突然のコール音。


着信画面を見て思わず顔が綻んだ。






Call Bunny








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あきゅろす。
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