シンク・オブ・ダークネス
第4章〜復讐〜

家はボロだと言うのに、疲れ果てた俺からすればそれすら幸せ。

我が家に戻るのがかなり待ち遠しくなった。

今から家に帰り疲れを癒すというプランだったが。

ウォォォォォンウォォォォォン。

何か音がする。

音を聞いて、なんの音だと言う事はすぐに理解できた。

事故の起きた時によく聞く効果音。

それはサイレンの音。

(何で、こんな所にパトカーが?)

そう、どこかで事故があったと思い込んでいたのだ。

マンションに近づくにつれて大きくなるサイレンの音。

まさか!

俺は何かを察知し、マンションへとダッシュで走る。

俺の思っていたことは外れていた。

俺はまさか自分が席を入れてるマンションだと思い込んでいたが、実際は自分に住んでるマ
ンションでは無く、その隣の一軒の住宅だった。

隣の家に大量のパトカーと野次馬が集まっている。

安心し、1息着く。

なんとなくだが、1人の警察官に現場取材を行ってみる。

「あの、何かあったんですか?」

警察官はどんな状況であったかというのを複雑な表情を浮かべながら答える。

「いや〜、こちらの住宅内で1人暮らしをしていた、ここの老人が死体で見つかりましてね、その調査をしてるんですけど、その死体の状態もなかなか気味が悪くてねぇ〜」

「事件と無関係の僕が訊くのも何ですが、どんな感じで?」

警察官は頭を掻きながら質問に回答する。

「その死体の状態が……」

ここで勿体ぶる様に間を開けてきた。

そして続けて言う。

「何と、腸引きずり取られた状態で、頭骸骨も砕かれ、脳味噌がはみ出た状態だったらしいぜ、グロいよな〜、犯人の考え。それと変なメッセージも書かれていたぜ、何だったけな?」

再度警察官は頭を掻き始める。

この男はそういう癖があるのだろう、このような癖のある者は大体が調子者と考えてもよい。

思い出したようだ。

「思い出した。たしか『地獄への道は長くは無い、人は全て死に行くものだ』だったような。こんなメッセージ残すなんて幼稚にもほどがあるな〜」

このことを聞いた時またも1つ謎が増えた。

犯人の残す文章には、『死』と『地獄』と言う、縁起の悪い単語が出てくることだ。

そんなことを書いてなんになるのか?

どんな意味があるのか?

俺は疑問に思った。

ただ1つわかることは、犯人は連続で殺人を行っている事だ。

必ず次も犠牲者が出るだろう。

そう、俺は確信している。

少し考え、聞くのを戸惑ったが、警察官の言葉に反応する。

「不吉ですね〜。誰がするんでしょうね、こんなこと」

その言葉を聞き、苦笑いをして警察官は呆れたような動作をしながら。

「それがわかれば、苦労しませんよ」

「他にも何かありませんでしたか?」

「あぁ、そういえば、死体の近くに無数の爪痕があったような気が……でもこんなに事件の事聞いて何を?」

俺は言葉が詰まった。

調査をしているのは好奇心からだし、別に突き止めてどうとかの話では無い。
 
俺は適当に返すことにした。


「あぁ、あれですよ………あの…こういうの訊くの趣味なんですよ〜」

「そうでしたか、では、こちらはそろそろ」

警察官がパトカーに向かうところに「調査、頑張ってください」と見送る。

現場を離れ、つい昨日気絶した歩道を考えながら歩くことにした。

(第1の事件と第2の事件、いったい何の関わりがあるんだ?犯人はどんな基準で人を殺しているんだ。無差別か?それとも何か恨みがあってとか?ヒントが無さ過ぎる。とりあえず、学校まで行ってみるか。何かヒントがあるかもしれない。弁当も忘れたし。絶対箱の中腐ってるよ、嫌だな〜)

俺はこれから家に戻るつもりだったが、計画を変更し、学校に戻る事にした。

今の俺は調査の件より、弁当の件の方が気になっていた。

地面を見るとそこには、つい三日前に俺が流した血の跡が見えた。

それを見て俺は呟く。

「俺も、無茶しすぎか」

今日は休日。

時間は4時。

完璧な時間だ。

この学校は部活が休日にある場合、必ず朝練だということが決まっている。

教師もこの日は学校にはいないようだ。

そのため生徒と先生が全くいない状態で調査ができるのだ。

歩いている内に俺は学校の校門まで来ていた。

校門は閉まっていたのでよじ登って、乗り越える。

俺は靴からシューズに履き替え、校内に入る。

正直俺は月曜から金曜まで以外、学校に来ると言う機会が無かった。

そのため、土日に来るのは今日が初めてとなる。

一応部活には入っているがいつもサボっている。

そこをいつも指摘されるが、そういう奴は無視している。

しつこい場合は気絶させる。

俺がたまに部活仲間に迷惑をかけ、一時は『部から出て行け』という声もあったが、そんな事できるはずがない。

なぜなら俺はあらゆる大会で優勝しているスポーツでは天才なのだから。

まぁ、スポーツなら……ほかはあれだが……。

部活サボりの俺が休みの日に学校に来ているわけだ。
なんか複雑な感じだ。

廊下を歩いていると、人の影があった。

よく顔を覗くとメガネが光った。

妙にそれが眩しかったがもとよく見ると、誰だと言う事がわかった。

アルミスだ。

向こうから話しかけて来た。

「よぉ、ケイト。お前が意味もなく学校に来るのは珍しいな。なんかあったか?」

「いや俺、明日に受ける予定だった、注射あったろ。それ、今日に予定変えてくれたんだ」

「そうか、大丈夫だったか?」

「正直のところ、かなり怖かったし、痛かった。絶対、あのナースミスったぜ。まぁ見た目は合格だったが」

「お前はすぐそっちに事を運ぶな」

「そん時、『ナンパしてみようかな?』と思ったぐらいだったぜ」

「止めておけ、無理だから」

「無理って何だよ。俺だぜ、俺、やればできる奴だぜ」

「どうせお前のやるナンパなんか古いやつだろ」

「古くない、古くない」

アルミスがため息をつき言う。

「ナンパしそうって言ってたけど、お前あの時の彼女どうしたんだ?」

「あ〜、リアドか。……フラれた」

「はぁ、マジで?あの時、結構うまく行ってたよな、何かあったか?」

「それが、俺の部屋に上がらせた時にいろいろ物が散乱しててよ、貯め買いしてたエロ本がバレちまってさ、怒ったらしく、最低って言われて、フラれた」

話を聞いたアルミスが頭を抱える。

「彼女を家に上がらせる時ぐらいは部屋掃除しとけよ」

「そうだな、新しく彼女なら出来たぜ。あいつだよ…あいつ」

アルミスはあいつというのが、誰かと理解したようだ。

「ほぅ、よかったじゃないか。うまくいってんのか?」

「うまくいってると言えば、うまくいってるな」

「それならいいや」

「何だよ、なんかあるのかよ」

「うまくいってなかったら、アドバイスでもしてやろうと思ってね」

「そんなのいらねぇっての。そっちはどうなの?」

「彼女が3人でいつも修羅場ですわ。あぁ思い出すだけで鬱になりそうだ」

「いいな〜、お前モテて」

するとアルミスはいつもの冷静な表情が崩れ青ざめかけた顔で。

「いいわけ………」

ここでアルミスは手を強く握る。

その手には怒りマークのような脈が浮き出た。

彼の握っていたボールペンは耐えきれなかったのか。

バキッと言う音を立てながら、砕け散る。

それが合図だったのか、青ざめた顔のまま、されど勢いよく、言う。

「あるか!こっちはなぁ、なんか、いろいろと問い詰められて、答えるのに大変なんだぞ!時には暴力も珍しくない!パーで愛のビンタというレベルじゃない。グーで顔面の鼻っ柱めがけて、本気のストレートしてくんだぞ!それで何回鼻が折れたことか!何回治療費払ったことか!息が詰まるわ!あいつら加減しろってんだ!何回眼鏡割れたと思っているんだ」

俺はその時知った。

いくら冷静な人でも弱点を突けば、本性が出る言う事を。

頭のキレてなおかつモテる、そんな完璧男も苦労はすることを。

「そうだよな、誰でも苦労はするよな」

「誰でもって。お前の生活が平和に思えるくらい俺は苦労してるぜ」

「何言ってんだよ、大変なのは俺もだぜ。夜に街歩いてると、1ヶ月に1回は輩にからまれるし、相手したら察に追われ、捕まったら意味も分からん長ったらしい聞き取り始まるわでホントに大変ですわ」

「まだマシじゃねーか。家帰ったら1日中勉強。それも毎日1日中」

「なら何で調査にきてんだ?」

「ちょっと待てよ、ここだけの話……」

アルミスが俺の耳に口を近付ける。

「おいおい、そんな趣味だったのか。失望したぜ、友達として」

「こっちはその考えに失望した」

アルミスが何か言う。

話はキチンと聞き取れた。

アルミスの親はアルミスを勉強一筋に育てたいらしく、常にアルミスの勉強部屋に縛り付けいつもプロの教育係からの勉強を受けさせているらしい。

そのためアルミスは家から出ることがあまりできなくなってしまった。

今日は何とか教育係のトイレにいっている隙に無事勉強部屋から抜けれたが、帰った時にはバレてしまうし、今回外に出たことがバレたら親のきつい説教がある。

「そうか、危なくねぇ〜か〜?戻った方が」

「な…何言っている!さっきも言ったように帰ったら徹夜勉強と、いつになったら終わるんだと言いたいほどに長い説教が待っているんだぞ!」

「そうか、今わかったぜ。俺よりお前の方が何倍も苦労してると言う事が」

アルミスが覗くように外を見やる。

俺はその姿を疑問に思う。

「何やってんだ?」

「いや、なんか俺部外者だし不法侵入だろ?バレたら」

「別に大丈夫だぜ、今日は先生方はおやすみだし」

「そうか、やけに学校が静かだと思ったらそうだったのか」

「とりあえず、家の件があるのでこれ以上の長居はできない。誤魔化せば学校の件はなんとかなるかもしれない。あぁ、それとナイフに着いてた指紋の事、今調べてんだ。ナイフに付着してる指紋と同じ指紋を持った者、そいつを犯人候補にするから。ナイフに血が付いてる事からして、犯人がナイフを使ったということがわかるし」

「そうか、犯人見つかったら焼き肉行こうぜ」

「なぜそうなる?まぁいいや。見つかったらな。そんじゃ、次の機会に」

「ちょっと待て」

その場を去ろうとするアルミスを引き留める。

俺の言葉を聞きアルミスが歩を止める。

そして俺は続けて言う。

「病院でもらった紙見たが、3年前に死んだブラムって…」

「そう、俺の母だ」

「と言う事はまさか」

「そうだ、俺がこの事件の調査を手伝っているのは母の仇を討つためだ。だから、あきらめる事はできない」

アルミスが拳をグッと強く握る。

「たとえそれが化け物であってもだ」

そのアルミスの台詞を聞いた瞬間。

恐い何かの記憶を思い出す。

忘れてしまいたいような記憶を。

その後、アルミスと別れ、廊下から教室へと向かう事にした。

スライド式のドアを開く。

ガラガラと言い感じの音が出た。

もちろん、そこには誰もいるはずがない。

何故、俺はここに来たんだ?

自分で来て疑問に思う。

着て早々適当に並べられた机を見やる。

それらは全て木製で、学校ではよく見るタイプだ。

自分の机に目がとまった。

机の上に何かが置いてある。

それの確認に自分の席に向かう。

置いてあった物にはチャックが付いている。

ボストンバック?それにしても形がはっきりしている。

この形は?バイオリン?

バイオリンがバックのようなケースに収納されている。

(誰だよ、俺の机に置いて忘れてるの)

ケースからバイオリンの本体を取り出す。

まだ使用されてないのか、見た目は傷1つ無く、新品そのものだ。

一応だが、周りを見渡すことにした。

勿論、誰もいるはずはない。

俺は弓を持ち。

バイオリンを弾いてみた。

ギィィィィィィィィィィィィィィ

バイオリン本体がダメなのか。

弾く本人がダメなのか。

めちゃくちゃな音が出た。

素人でもここまではやれないだろう。

この音を聞いたら気分を害する。

そんな感じの音。

俺はとっさに弾くのをやめた。

そして、バイオリンと弓をケースに戻さず、机の上に直接置く。

「あぁ、凄い音が出た」

自分の奏でた音に何かしらの危険を覚えた。

まるでこれ以上弾いたら弦が切れてしまうような。

いや…まだ俺はあきらめたわけでは無い。

弦が切れたら?その時はその時だ。

絶対にいい音出してやる。

俺は机の上に置いたバイオリンを持ち上げ。

今度は出る限りの力を出しながら。

音を出す!

ギィィィィィィィ、ブチッ!!

最後に余計な音が聞こえた。

ブチッと言う変な音が。

言うまでもないだろう。

弦が切れてしまった。

あまりの罪悪感に悲鳴を上げたくなるが、そこは堪える。

自然と手に力が入る。

その時。

バキッ!!

またも変な音が。

右手に弓を握っていることを忘れ、またも力を入れ過ぎたのだ。

力を入れ過ぎた結果。

弓が折れた。

俺は破損したバイオリンと弓を何度も見比べる。

「ま、音楽室まで持ってけば誰がしたか分からない、問題なしだろ」

バイオリンをケースの中に戻し、バイオリン入りのケースを持ち上げ肩に乗せる。

教室を出て、先ほどアルミスと話していた廊下を歩く。

しばらく歩いていると、目線の先に人がいることに気づいた。

それも小柄で可愛げのある、いかにも可愛がられてそうな少年。

だれだ?

俺は疑問に思う。

何故にこんな時間に人がいるんだ?と。

その人物の横を誰も横にいないのかと言わんばかりにスルーする。

スルー出来たと思ったらその少年から話しかけてきた。

「あ……あの、すいません…そ…その…そのバイオリン…どこから?」

緊張しているのかしゃべり方がおかしい。

身長からみると恐らく1年ぐらいだろう。

髪は栗色で見る限りおとなしそうだ。

「あぁ、これ。2ーEの教室に置いてあったけど、ってアンタ何部?」

「『演奏部』……ですけど」

「あぁ、あの部活か?人気あるよなぁ」

「ボ……ボク…自分の楽器……バイオリンなんですけど…無くしたんですよ」

「はは…それは災難で」

「そのケースの中見せてもらえませんか?」

「いいよ…」

何かを思い出す。

このケースの中の物が破損してしまったことを。

少年がケースに手を近づけようとすると俺はそれを少年の小さい手に近づけないように遠ざける。

「あの……どうかされたんですか?」

「ご…ごめんやっぱ無理…。いや、事実言うわ」

ケースのチャックを開け中のバイオリンを出す。

そのバイオリンを見て少年は驚愕した。

「えっ、これって……僕のやつ。何で弦が」

「ハ…ハハ、アレだよ。事の成り行きっていうか、結局こうなったていうか…まぁ。それいくらだった?」

「え……昔、姉に貰ったプレゼントだから値段とか……」

プッ……プレゼントー!

やべーよ、ここでスマンとだけ言って逃げるのもなんか情けない感じだし。

ここで返すって言ってもいつ金が入るかわかんねぇし。

逃げる?

それとも弁償するとだけ言い去る。

それとも弁償するって言っておきながら結局払わない?

あぁ〜、頭痛くなってきた〜。

そんな少年のために考えている俺を見て少年の顔に笑みが浮かぶ。

緊張がほぐれたのかしゃべりがはっきりしてきた。

「まぁ、とりあえず話戻すわ。これ、スマン!」

「いや、別にいいよ」

そう少年は言っているが表情は困った感じだ。

その表情を見て俺は罪悪感に襲われた。

「それ、やっぱ弁償するよ」

「えぇ?」

少年は疑問に思う。

別にいいと言っているのに、弁償すると言ってしまった。

向こうにとっては鬱陶しいなぁと思っているだろうが、このままではこちらは迷惑極まりない単なる馬鹿だ。

俺は単なる馬鹿では無い。

借りた物はキチンと返し、なくした物は弁償し、壊した物も弁償する。

 
そんなわけで借りた物はキチンと返す偉い奴だと思ってもらえればうれしいが、よく考えてみればそれは普通だ。

「何か人のもん壊しといてそのままって言うのもあれだしとりあえず値段わかったら今日電話してくれ。これ電話番号」

俺は少年に電話番号を書いた紙を渡した。

それを少年はおとなしく受け取った。

「うんいいけど、君は誰?」

「あ、俺?ケイト」

その名前を聞いた瞬間おとなしい少年は驚くように。

「ケイトって、まさか、不良15人を10分たらずでボコボコにしたって言う、伝説の」

「そう、そのケイト。でもあの後のクリーニング代高かったんだよな」

俺がそんなこともあったな〜的なしゃべり方をすると少年は尋ねるように言う。

「怖くないんですか?」

「なにが?」

「喧嘩とかするの」

「怖くは無い。慣れてるから」

「殴られた時とか、痛みは感じないんですか?」

「普通の奴とは違うんだ、痛みを感じにくくなってるんだ」

俺はおかしな事を言っているが少年は前向きに答えた。

「まさか、特異体質とか?」

「そんな感じかな、とりあえず、バイオリンの件頼む」

そう言うと、少年は明るい顔で笑いながら返事をする。

「わかった、伝えとくよ」

「んじゃ、ヨロシク」

俺はこの場から去ろうとする。

「ちょっと待ってください」

少年から約5メートル離れた所で引き留められる。
「まさか、ホントに持って来てくれるんですか?」

「言っておくが俺は1度も人をはめよう何ぞ考えて事無いんだぜ」

「明日、昼休みの時に屋上で待ってるから。高かったら無理しなくても」

「OK、OK。俺貧乏そうに見えてるだろうけど、そこそこ金あるんだからな」

こうは言ったが、実際金がなくて困っている。

今はポーカーフェイスを気取っているが、心に中ではかなり焦っているのだ。

「そうですか、じゃ明日屋上で」

「了解!」

お互い手を振り、お互いが背を向ける。

しばらく離れ、姿の見えなくなった所で、俺は今話したことを思い返す。

俺はなんてことしたんだ。

ゴメンと正直に誤れば何とかなったかもしれないのだが、弁償すると言い張ってしまった。

絶対高いぞ。

バイオリンだぞ、バイオリン。

玩具楽器では無いのだ。

しかも、凄く高級そうな見た目だった。

五百、いや八百、下手すりゃ10万は軽く行きそうな見た目。

前に奪ったハンドガン売っても2万もいかなさそうだし。

ピンチだ。

どうしても足りない。

無理すれば足りるが、その方法はもはや犯罪だ。

法律に判ずることはしてはいけない。

……が、しかしだ。

バレなければ問題はないという事だ。

街にいってそこらにいる奴をカツ上げすれば、なんとか……

……………!

危ない、危ない。

思わず人生の道を外すような考えを出すところだった。

もっと別の案を……

そのまま30分経過。

何も案が出なかった。

1時間経過。

「う〜ん、もう少し考えればいい案が出るかもしれない」

2時間経過。

「外、暗くなってきたな」

3時間経過。

「帰るか」

ここで考えても何も変わらないことに今頃気づいた。
俺はそのまま靴を履き替え、来た時と何も変わらない状態で校内を出た。


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