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夢。
プロローグ、
「・・・・・鬼、」
暗い暗い闇の中に、一人の少女。
その少女の腕の中には、ボロボロになったぬいぐるみ、ひとつ。
「穂香は、どうすればいいの・・・・?」
近づいてくる男たち。笑ってくる女たち。
その目には欲望、その目には嫉妬。
自分がどんな香りを出してるのかさえわかりやしない。でも、その香りで男たちが寄ってくるのは事実で。
その様子をみて、嫉妬に狂った女たちは己を殺そうとする。
どんどん時が過ぎていって、己が成長しても。



「もう、こんな世界なくなってしまえばいい・・・・・・」

一人の少女は、呟いた。
ある教室の窓側の席に座って、目の前にある綺麗な机を眺める。
窓の外からは、鳥の声が聞こえたり、スポーツをしてあそぶ男子生徒の声でにぎわっていた。
自分の周りには、鬼。
その生き物はどこまでも自分を追いかけてきて、喰らおうと粋がる。
その生き物はそんな自分の存在が憎くて憎くて仕方ないらしく、自分を殺そうと粋がる。
佐野穂香。それが彼女の名前であった。
幼い頃、兄につけられた刻印のせいで、彼女の人生は悲惨なものと化していた。
刻印の香りに惑わされて、欲望のままに寄ってくる男たち。
嫉妬と怒りが混じって、狂乱して襲い掛かってくる女たち。
自分に、味方なんていないんだ。所詮は皆、鬼。
できることなら家にいたい。
できることなら普通の女子でありたい。
できることならー
自分の、人生を送りたい。

転校先の学校が決まったといわれた。それは今朝で、
喜んでいいのか、それとも絶望しなくちゃいけないのか。穂香は不安だった。
何回暴力をふられたことだろう。
その体をわたせ、と襲ってくる男たち。
私の愛する人をとった、と殴ってくる女たち。
高校生になった今でも、その恐怖は終わらない。

ああ、神様は私に微笑んでくれやしない。寧ろ罰を与えるだけ。

―――神様、私は何をしましたか、

―――私は、何か貴方様の怒りに触れるようなことを、致しましたでしょうか。

明日から通うこととなる学校の前日、その丸く帯びる天にいるお月様に、穂香は手を合わせていた。






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あきゅろす。
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