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捧げ物



“最近藍将軍は意中の女人がいるらしい。とにかく暇さえあれば紙束を見てニヤついている。そこに描かれているのはその女人に違いない”


最近左右羽林軍ではこんな噂がたっていた。知らぬのは本人ばかりだが。
そんな噂は当然のように文官達の所まで飛んでいき、ある日絳攸の耳に入っていった。

「おい聞いたか?藍将軍のあの噂…」

「ああ、聞いた聞いた。片時も意中の女人の姿絵を肌身離さず持ってるってやつだろ?そっかー藍将軍もとうとう身を固める決心をしたかぁ…」

最初絳攸は耳を疑った。
藍将軍って楸瑛のことだよな、と混乱する頭でなんとも寝ぼけた事を考えた。時間が経つにつれ頭が冷静になってきた、と思ったら次第に怒りが出てきた。

あんなに人を口説いてその気にさせておいていきなりこれかよ。
なんだ、俺に何か不満でもあったのか?そりゃ恋人になってもア、アイシテル、だなんていう恥ずかしい言葉とか滅多に言わないし振る舞いとかしないけど、それでも俺なりにアイツを愛している。

そう、現に胸の内からこんなにも噂の女人に
“嫉妬”する程に―――


自分たちが付き合う前でも楸瑛にはこんな噂が多々あった。もしかしたら手違いかもしれない。確かめなければ。
けどそんな風に考えても噴き出しそうになる嫉妬を鎮めることは出来なかった。

絳攸は仕方なく“嫉妬”を胸に抱えたまま楸瑛を尾行することにした。




 

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