Gift
1
俺は李絳攸。『朝廷随一の才人、鉄壁の理性』なんて言われてたりするが…本当は結構余裕がなかったりする。
原因は腐れ縁の藍楸瑛。
俺はこいつの事が好きで、こいつも俺が好きで。気付けばそういう関係にもなっていたけど。
何だか、違う気がする。
俺は楸瑛をきちんと愛したいんだ。
明日から、もっと優しくしよう。
「おはよう絳攸。今日も朝から迷っちゃって可愛いね」
「俺は迷ってなどいないぞこの常春!…ハッ!」
いけない。優しくと決めたはず…!頑張れ俺ェッ!
「お、おはよう。おまえもき、きれ、綺麗だぞ楸瑛」
「…………迷子ついでになにか悪いものでも食べたのかい、絳
攸」
心底不思議がっている。
何だか腹が立って来た…!
だが優しく、優しく…!
「思ったことを素直に言ったまでだ!」
すると楸瑛はいつもの軽々しい雰囲気をまとったまま呟く。
「閨の時でさえ言ってくれない君が…何かあったのかい?」
いくら心を読ませまいとしたって、浮気か他に好きな相手が出来たかを疑っていることはすぐ読めた。くそっ。何年貴様だけを愛してると思っているんだ…!
「楸瑛。俺は無二の良縁だった秀麗との婚姻だって蹴ったんだぞ」
ガッと腕を掴んで歩き出した。
「絳攸?」
明らかに同様している楸瑛だったが、構わずに聞いた。
「人気がなく、かつ空いている部屋は」
「後宮ならいくらでもあると思うが…」
「連れていけ」
「だが仕事が…」
向こう見ずにズンズン歩いていたが立ち止まり振り返って言った。
「そんなものはどうとでもなる。だがお前は別だ。俺は確かに言わなさ過ぎた。だから貴様がわかるまで抱いてお前を愛しているといくらでも言ってやる」
フンッと息巻いて歩き出した。
「後宮はどっちだ」
「…後ろだよ、絳攸」
「〜〜〜来いッ」
俺のすべてはお前のために形作られたことを、わからせてやる。
end.
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