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短編


銀糸に指を通して、梳いて、通して、梳いて。
その繰り返し。













何時も、楸瑛は優しい。
その優しさに対して俺が素直になれなくて、意地をはったり、殴り付けようとしたり、暴言を吐いてもただ受け止めてにこにこ笑ってるだけ。
過去に一回だけ聞いた事がある。こんな事をする俺が嫌にならないのか?と。奴は目を見開いて少し驚いた顔をするが直ぐに笑顔になってこう言ったのだ。

「全然!」

寧ろもっともっと好きになってるよ、とも。
可笑しな奴だと正直思う。何故自分に危害しか与えて来ない奴を好きになるんだ。ただの変態か?それとも酔狂なだけか。(最も、そんな男に付き合っている自分も酔狂だと思う)
それっきり、その質問について俺もアイツも何にも触れない。また、もう一つの質問についても。





ある日、酒を飲んでいた。それは当然の事のように、互いに酒を酌み交わし合っていた。
心地良い雰囲気に身を委ねていたのが悪かったのかもしれないし、酒を飲んで気が緩んだからかも知れない。絳攸は自分の心の奥底に封印されていた、もう一つの質問を楸瑛に投げかけていた。

「…お前の痛みは、何処にある?」

この質問は楸瑛に笑顔を浮かべる隙を与えなかった。常時漂わせているふらふらとした雰囲気を消し、冷気を纏う様な鋭利な物と変わる。

「……真意は?」

その様変わり様に絳攸は思わず楸瑛の双眸を見返す。
そこにはただ夜を煮詰めた闇が広がっていた。

「…そのままだ。お前の“痛み”は何だ?」

するり、と絳攸は座っていた椅子から立ち上がり楸瑛の前に立つ。相変わらず纏う雰囲気は鋭利なままで、絳攸は闇の双眸を見つめ続けた。

楸瑛はとても優しい。

その優しさは温かい。
しかし、それは時には冷たく残酷なのだ。

「痛みなんてないよ」

「…嘘だ」

絳攸にはわかる。
目には相変わらず、動じぬ闇。それは感情を覆い隠して。

「答えろ」

「…出来ない」

楸瑛は頑として、口に出さない。
これが優しさだ。
これが酷さだ。

「…わかった」

絳攸の返答で少し楸瑛の雰囲気が緩んだ様に思われた。が、次の言葉でまた硬くなる。

「言えないなら言えないままで良い。その代わり、これからは俺がお前の“痛み”を受け止める」

「何を…!」

絳攸の手が楸瑛の頬に触れようとするが、楸瑛は咄嗟に拒んだ。

「…楸瑛、お前は何時も俺の“痛み”を受け止めてくれるな。正直とても嬉しい。だがな、それは時には冷たいんだ、残酷なんだ」

「………」

「俺はそんなに頼りないか?少しでも良いから、俺にも受け止めてさせて」

鋭利な雰囲気は消え去り、そのまま暫く時は過ぎる。痛い程の沈黙。さ迷う瞳。そして、答え。

「…一緒に受け止めて、くれる…?」

「ああ」

「ありがとう…」


再び手を延ばし頬に触れる。今度は拒まれなかった。


















ぎゃー意味わかんないーッッ!!ごめんなさい!!此処、無法地帯なんでッッ(逃)←
楸瑛最後乙女化してるし!絳攸男前だし!本当にごめんなさい!!




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